駒澤大学 データサイエンス対談

2022年度
「データサイエンス・AI教育プログラム」
開始!

データサイエンス・AI教育プログラム対談
各務 洋子 学長
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坂野井 和代 教授
総合教育研究部 自然科学部門
「データサイエンス・AI入門」担当
2022年度より「データサイエンス・AI教育プログラム」がスタートします。そこで、2021年4月に学長に就任した各務洋子学長と、全学共通科目「データサイエンス・AI入門」(新設科目)を担当する坂野井和代教授に、本プログラムが開設された背景や今後の展望を語っていただきました。
各務学長お写真
各務 洋子

(学長)

米アリゾナ州立大学サンダーバード国際経営大学院修士課程修了。 米国の民間企業でコンサルティング業務に従事した後、国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了(学術博士)。1998年駒澤大学経営学部専任講師、准教授を経て、グローバル・メディア・スタディーズ学部設置準備室長、同学部学科主任、同学部長、理事、評議員議長、学長補佐を経て、2021年4月から学長。専門は経営戦略論、グローバル経営論。
坂野井教授お写真
坂野井 和代

(総合教育研究部 自然科学部門 教授)

東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士課程修了。博士課程在学中に、日本人女性初の南極越冬隊員として1年半南極に赴任。独立行政法人情報通信研究機構を経て、2005年より駒澤大学総合教育研究部自然科学部門にて教鞭をとる。これまでの主な担当科目は「プログラミング入門」「プログラミング初級」。2021年10月よりデジタル改革教育担当学長補佐、新規開講科目「データサイエンス・AI入門」担当。

文系も理系も関係なく、
データサイエンスの知識が教養として求められる時代に

坂野井教授 なぜ「データサイエンス・AI教育プログラム」を推進しようと思われたのですか?
各務学長 これからの時代、デジタル社会で生きるということは必然です。情報技術はインフラなのです。データサイエンスが日常となった社会に出て行かなければならないのは、学生の皆さんなのです。社会に出て少しでも困らないように、実力をつけてもらいたいと考えたことが最大の理由ですね。理系だからデータサイエンスが得意だとか、文系だから苦手とか、そんなことを言っている場合ではありません。デジタル社会で生きていくためには、少なくともデータサイエンスに対してネガティブな気持ちをもたない人間になってほしいと考えています。
坂野井教授 各務学長ご自身が、数理的なデータなどの重要性を認識したきっかけは?
各務学長 ずいぶん遡りますが、私が駒澤大学で働き始めたのが1998年、ちょうどインターネットが一般的に使われ始めた頃でした。まだ授業でインターネットを使うことはなく、メールを使いだしたかどうかというあたりですね。当時は、理系が苦手だから文系を選んで駒澤大学に入学した、という学生がとても多かったんです。ところが2000年代に入ると、ゼミ生たちの就職先としてIT企業が増えてきて、理数系が不得意と言っていた学生までSE職で働き始め、「不得意だったけれどできるようになりました」と言うんです。
坂野井教授 いいですね。
各務学長 その時、文系・理系を問わず、ITの知識は社会のニーズとしてあるのだと認識したのです。そして今、データサイエンスはいよいよ日常になりましたね。
各務学長対談風景

「データサイエンス」「AI」の中身を知らない学生たちにも
理解できる入門科目を新設

各務学長 坂野井教授は理系の先生ですけれど、教養教育科目では文系の学生にとても上手に理系の学問を教えてくださっています。今回「データサイエンス・AI教育プログラム」を導入するにあたり、文理の枠を超えたこのプログラムの根幹を担うのは坂野井教授が適任だと考え、学長補佐に任命させていただきました。
坂野井教授 ありがとうございます。学長補佐というお話をうかがったときは、時代が変わったのだなと感じました。私が駒澤大学に着任したのは2005年ですが、当時は「理系なんて」という雰囲気がありました。ですから、まさか自分が駒澤大学の教育の根幹に関わるようなことはないだろうと考えていたのです。ところが各務先生が学長に就任され、DX推進や文理融合教育を大切にされるというお話を聞いて、それならばぜひご協力したいと思いました。
各務学長 心強いです。坂野井教授は「データサイエンス・AI教育プログラム」の一環で新設される科目「データサイエンス・AI入門」を担当されますが、この授業は具体的にどのような内容ですか?
坂野井教授 最近よく耳にする「AI」「データサイエンス」「機械学習」など流行りのキーワードがありますが、学生にアンケートをとると、半分くらいは「聞いたことはあるけど中身は分からない」と回答します。なので、まずはその中身を知ってもらうことから始めます。ある程度の基礎知識が身についたら、次はExcelでデータ解析の基礎を学びながら、データを扱うときにどういうことが大事なのかを学習してもらいます。長年、駒澤大学でプログラミングの入門科目を担当してきた経験をふまえて、文系の学生にも分かりやすく教えていきたいと考えています。
坂野井教授対談風景

教養レベルから専門レベルへの
接続が可能なプログラムが実現

各務学長 これまでも本学では、「情報処理」や「情報リテラシー」など情報やデータに関する入門科目を用意し、学部を超えて履修することが可能でした。ただ、ほとんどの学部において必修科目ではなかったため、あえて理系の科目を履修しない文系の学生も多かったのです。でも「理系は苦手」という学生だって、毎日スマホを使い、インターネットにアクセスして様々な事柄を検索しているわけですから、情報の扱い方に関する最低限の知識は身につけてほしいと思います。
そこで、データサイエンス等に関わる学びを系統立て、全学共通科目としてカリキュラムを拡充したのが、このたび始まる「データサイエンス・AI教育プログラム」です。教養としての入門科目を設置したうえで、さらに深く学びたい人のために応用的な演習科目も用意しています。
坂野井教授 本学にはもともと、データサイエンスや、AI、地理情報系に強みを持つ先生が多数いますよね。グローバル・メディア・スタディーズ学部や医療健康科学部、経済学部でAIを研究されている先生や、文学部の地理情報系の研究、データサイエンス(統計)は経営学部、文学部心理学科、社会学科など幅広い分野で使われています。ただ、情報系の学びがバラバラと散らばっていたので、今回ひとつのプログラムとしてまとめたことで、学生にとって、より分かりやすくなるのではないかと思います。
各務学長 データサイエンスは現代の「読み書きそろばん」です。例えば英検1級や漢検1級ってなかなか関門が高いけれど、勉強すれば取れるもの。データサイエンスも同じで、少し頑張れば身につくものだと考えてほしいです。文系・理系という分類にとらわれず、誰しもがデジタル社会の中で生きていかなくてはならない今、学生の皆さんには、データサイエンスが自分の武器になるのだという確固たる信念と自信を持って学んでほしいと思います。