NOZOKIMI LAB

驚くほど日常生活に活かせる「マネジメント」

経営コンサルタントとして10年間キャリアを積んだ後、大学教員に転身した各務先生。異色の経歴をもつ先生に、学ぶことのおもしろさや、人生への生かし方をお聞きしました。

各務 洋子 教授

マネジメント=会社経営だけではない

インタビュアー
各務先生、今日は先生や駒澤大学について、色々とお伺いさせていただきます。
各務洋子教授
よろしくお願いします。
インタビュアー
まず、先生のご専門はなんでしょうか?
各務洋子教授
経営戦略論です。英語ではStrategic Managementといいます。
インタビュアー
難しそうな分野ですね…。それはどんな学問なのですか?
各務洋子教授
ひと言でいうと、限られた資源の中で目標を達成するための方法論を学ぶ学問ですね。経営学の一つの分野です。とかく「経営学」というと、“お金儲けの学問”をイメージするかもしれませんが(笑)、そもそもは「なんとかやり繰りする」の意味の「manage」を語源としています。日本では「経営学」と訳したため、ちょっと誤解されているかもしれません。
インタビュアー
じゃぁ、ビジネスの学問ではないということですか?
各務洋子教授
いえ、もちろんビジネスも該当しますが、もっと広く日常生活に生かせる学問です。
インタビュアー
日常生活にも?
各務洋子教授
そうです(笑)。たとえば、うまくいっていないサッカーチームがあるとします。試合にはいつも負けてしまい、士気も下がる一方。このチームをどうやってまとめて、勝てるチームにするか。それにはチームメンバーのマネジメントと戦略が必要ですね。
インタビュアー
えっ? なんだか意外ですけど…。
各務洋子教授
人が3人以上集まれば「組織」といわれます。その組織が、どのように目標を立て、達成していくか? 達成するためには、現状を分析し、課題を解決していかなくてはなりません。限られた時間と能力を最大限に活かすための方法論を学ぶのがマネジメントなのです。
インタビュアー
なるほど! 「経営」と訳してしまうと、確かに意味合いが限られてしまうのかもしれないですね。現状の問題を分析して、実践しながら軌道修正していく…。生きた組織を作るには、その組織の目標を達成するための「戦略」と、戦略を実行するための「マネジメント」が欠かせないのですね。
各務洋子教授
そのとおり。戦略の作り方とマネジメントを勉強すれば、いろいろなところで生かすことができます。サークル、部活動、家族など、組織の中でそれぞれのメンバーが自分の強みを生かせるように役割分胆されていると、チームはうまくまとまり、最大限の効果を発揮します。オーケストラがいい例ですね。

「社会に貢献できる」人材になるには?

インタビュアー
先生の講義の中で、一番人気のあるものは何ですか?
各務洋子教授
今お話したようなマネジメントの基礎的な理論を学ぶ「グローバルマネジメント」(1年次必修)ですね。 “自分ごと”として日常生活に生かすことができるせいか、理解が深まるにつれ、授業を受ける学生の目が輝いていきますよ。学生から、「初回の授業が衝撃的だった」「人生が変わった」と良く言われます。
インタビュアー
大学で学ぶことのおもしろさは、どんなところにありますか?
各務洋子教授
マネジメントの場合は、学んだことを実践できることでしょう。2年次からのゼミでは、自分の“強み”を発見し深めていきます。これにより、その人ならではの“個性”が浮き彫りになります。また、スピーチやディベートなどの実践的なトレーニングに重点を置いているため、自己表現力も高まります。結果として、就職活動でも大いに役立っていますね。
インタビュアー
先生の授業を通して、単なる知識だけではなく、実践する力が身につくのですね。就職活動に役立つのも、とても魅力的だと思います。
各務洋子教授
「学びたい!」と思うことを「選ぶ」ことができるのは、高校までの学びと大きく違う点です。高校まではみんなが同じように勉強していました。けれど、大学ではやりたくないことは選択しなくてもいい。その代わり、やりたいことはとことん究める。他者とは違う自分だけの“強み”が育ちます。それによって社会から求められる人材に成長します。
社会に求められることこそが、自分が貢献できる力ではないでしょうか。
インタビュアー
貢献ですか?
各務洋子教授
そうです。たとえば、クラス全員が英検3級をもっているとします。そのなかで、同じように英検3級をとるのではなく、漢検3級をとれば、「漢字でわからないことがあったら、この人に聞こう!」という点で役に立つ存在になれます。これが、クラスという組織に対して「貢献できる」ということなのです。
インタビュアー
周りの人と違う点、違う力こそが、個性であり、社会の中で価値となるのですね!

4年間、たっぷりチャレンジができる

インタビュアー
それでは最後に、読者のみなさんへのメッセージをお願いします。
各務洋子教授
大学4年間の中でチャレンジと失敗を積み重ね、“世界から求められる自分”をめざしてください。チャンスがあれば、ぜひ留学も体験して欲しい。外に出ることで初めて、今までいたところの良さや悪さを客観的に見ることができますから。グローバル化が進む今、世界を視野に入れて自分を活かせる人になって欲しいと思います。
インタビュアー
10代で読んでおきたいオススメ本を教えてください。
各務洋子教授
『天才! 成功する人々の法則』(著:マルコム・グラッドウェル)と『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』(著:リンダ・グラットン、 アンドリュー・スコット)です。誰にでも平等に流れる時間を、何にどう使うか? タイムマネジメント次第で、人生は大きく変わっていきます。限られた時間と能力を戦略的にマネジメントして生きていくことの大切さを教えてくれる2冊です。
インタビュアー
先生の授業を受けたら、価値観が一気に変わりそうな気がします! 今日はありがとうございました。

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