NOZOKIMI LAB

メディアの最前線を体感することが社会に繋がる

ローカルテレビ局のキャスター職を長く務めていた異色の経歴を持つ深澤先生。その経験を生かし、メディアのリアルな“現場”を何より大事にするゼミの学びについて聞きました。

深澤ゼミ

深澤 弘樹 先生

山梨県生まれ。同志社大学 法学部 政治学科 卒業、中央大学大学院 文学研究科 社会情報学専攻 博士課程修了 博士(社会情報学)。山梨日日新聞社記者、山梨放送アナウンサーを経て、現在駒澤大学文学部社会学科 准教授。主な著書に『変容するテレビニュースとキャスターの役割』(春風社刊)、『現代社会論ー社会的課題の分析と解決の方策-』(共著・ミネルヴァ書房刊)等。

濱口 芹さん

文学部社会学科社会学専攻 4年。深澤ゼミ・ゼミ長。テレビメディアについての卒論を書きたくて深澤ゼミを専攻した。

調査のプロ社会調査士の資格が取れる

インタビュアー
深澤先生、濱口さん、本日はよろしくお願いします!
早速なのですが、先生のご専攻をお教えください。
深澤 弘樹 先生
よろしくお願いします!
私の研究テーマは社会学の中のマスコミュニケーション論です。現職の前は山梨日日新聞で1年、山梨放送で18年と長くローカルメディアに携わってきました。特にテレビニュースとローカルメディアを専門にしています。
インタビュアー
ゼミはどういった内容なのでしょうか?
深澤 弘樹 先生
言葉から文字が発明されたところから始まり、時代とともに発展していったメディアの歴史と、それが社会や人間関係に与えている影響について研究しています。
インタビュアー
メディアとはテレビや新聞、ラジオですか?
深澤 弘樹 先生
それに加えて、インターネットやSNS、最近の時流としては漫画やアニメなどサブカルチャー系をテーマにする学生が増えてきていますね。それぞれ自分が好きな分野の研究をしています。
インタビュアー
それは面白そうですね!ゼミは具体的にどういった内容ですか?
深澤 弘樹 先生
まず2年生は後期からなのですが、メディアコミュニケーションの基本的な文献を読んで知識をつけます。
深澤 弘樹 先生
そして3年生になると共同研究をします。たとえばスポーツやテレビ、インターネット等、それぞれの問題関心でグループを作って研究し、後期になると、実際の現場で働いている人にインタビュー調査をしたり、メディアコンテンツの分析をしています。
インタビュアー
座学の研究だけでなく生の声を聞きに行くのは実践的ですね!
深澤 弘樹 先生
メディアには「現場」がありますから、それを体感してもらうことが大事なんです。また、そのインタビュー調査を経て「社会調査士」の資格も取得できます。
インタビュアー
それはどういった資格ですか?
深澤 弘樹 先生
端的に言えば、社会調査の基礎能力を有する専門家。インタビュー調査等の質的社会調査とアンケート等の量的社会調査の能力を有し、既存の調査についての問題点を的確に指摘したり改善策を提言できる人に対して、一般社団法人社会調査協会が与える資格です。
インタビュアー
世論調査やマーケティングの仕事に繋がるような。
深澤 弘樹 先生
そう、調査のプロとしての資格ですから。それは試験ではなくカリキュラムに対応する6科目の単位を履修して取得できるのですが、本ゼミも学びの総仕上げである実習科目に協会から認定されていて、インタビューや内容分析をすることで資格を得られます。
インタビュアー
つまりゼミを通じて資格が取得できるんですね!

メディアの現場を取材する事で身につく力

インタビュアー
濱口さんはどうして深澤ゼミを専攻されたのですか?
濱口 芹さん
もともとテレビが好きでメディアについて学びたいと思って、文学部の社会学科でメディア系は深澤先生だけだったので、何回か見学して入りました。
インタビュアー
インタビュー調査はどういった方にしたのですか?
濱口 芹さん
もともとスポーツ観戦が好きだったので、共同研究ではスポーツ班に所属してフリーのスポーツアナウンサーの方にインタビューをしました。
インタビュアー
どうでしたか?
濱口 芹さん
最初はすごく緊張しましたが、テレビを観ているだけでは分からない裏側の話まで聞けて、刺激的でした!
インタビュアー
その中で印象に残っているのは?
濱口 芹さん
どの話も面白かったのですが、とりわけスポーツ実況の話が興味深かったです。たとえばサッカーなら、視聴者がどちらを応援しているか分からないので、偏らないように自分の感情を一切入れず、感情をコントロールしながら実況することを心がけられていたり。
インタビュアー
それは深い。
濱口 芹さん
声をはるところと弱めるところの感情表現を大事にしているとおっしゃていたのが印象的でした。
インタビュアー
まさに生のインタビューだからこそ聞けるヴィヴィッドな話ですね。他にはどういった方にインタビューするのでしょうか?
深澤 弘樹 先生
スポーツ新聞の記者やテレビ局の職員、ネットメディアの制作者だったり、それぞれの世界の「現場」で活躍している方々です。
インタビュアー
アポイントからゼミ生がするのでしょうか?
深澤 弘樹 先生
そうです。インタビューはもちろんですが、すべてのプロセスが大事なんです。社会人になると学生時代とは異なり、色々な人と向き合う機会があります。
深澤 弘樹 先生
そこでアポイントを取って接触し、自分の意図や目的を伝えて相手の承諾を得て、対話をする。
インタビュアー
それは社会人としてどの仕事でも必要ですね。
深澤 弘樹 先生
なので、インタビュー調査は社会調査士の資格取得だけでなく「他人とどうやって関係性を築いていくか」という重要なプロセスが学べるんです。
インタビュアー
コミュニケーション力が鍛えられますね。

関係性が一生涯
“繋がる”のがゼミの本分です

4年生のゼミはどういった内容ですか?
深澤 弘樹 先生
12月10日が提出締切となっている卒論の途中経過報告がメインです。
インタビュアー
濱口さんの卒論のテーマは何ですか?
濱口 芹さん
テレビドラマの視聴率の低下についてです。年齢層の高い人が積極的にテレビを観ているのに対して、若年層の「テレビ離れ」をネットとの関係を絡めながら多角的に分析しました。
インタビュアー
まさに現代的なテーマですね。
濱口 芹さん
苦労しました(笑)。毎年1回、ゼミ生が決めた場所に二泊三日で合宿に行くのですが、そこで他の人の卒論の途中経過を聞いてすごく刺激を受けましたね。もちろん懇親会とか観光の遊びも楽しかったですが(笑)
深澤 弘樹 先生
卒論は学生にとって辛い作業なのですが、社会に出てその経験が生きてくるんです。
インタビュアー
というのは?
インタビュアー
ひとつのテーマを自分で見つけて設定し、それに対する問いをたてて、必要なデータを判断して集める。それを分析してロジックで組み立てて結論を出す営みは社会で必ず役立ちます。
インタビュアー
その予行演習なんですね。
深澤 弘樹 先生
そうなんです。最初に書いていた文章と、最後に提出した文章を比べると、文章力だけでなく論理的に組み立てることの成長が実感できますよ。
インタビュアー
深澤ゼミは、社会に繋がる実践的な学びが多いんですね!ゼミはどういった雰囲気なんですか?
深澤 弘樹 先生
学年にもよりますが、それぞれ個性があって、社交的で、非常に優しい子が多いですね。
濱口 芹さん
私の学年は男子より女子の方が賑やかで強いと思います(笑)。みんな仲が良いですよ。先生が優しいので自分の意見が積極的に言いやすくて、シーンとする時間がないです。
インタビュアー
先生のご指導の賜物ですね。
深澤 弘樹 先生
そんなにしていない(笑)学生の自主性に任せています。
インタビュアー
良い関係性ですね。では最後に、先生にとってゼミとはどういう場でしょうか?
深澤 弘樹 先生
「繋がる」場だと思います。通常の授業は一方通行ですが、ゼミは毎年色々な人がいて、ゼミ生同士がまとまるために双方のことを考えながら繋がる。それは私も同じで、いかにゼミ生と関係性を築いて有意義な研究ができる場にするかが難しいんですが、だからこその醍醐味がある。
深澤 弘樹 先生
そもそも「メディア」という言葉は、何かと何かを「繋ぐもの」という意味合いがあるので、ゼミでの繋がりを大事にしながら、一生涯続くような関係性を築いていきたいと思っています。

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