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【先生の書斎拝見!】扉を開けたら古代エジプトへタイムトリップ!

古代エジプト史の研究者として、学生の好奇心引き出す授業を行っている大城道則先生。これまでの研究人生に欠かせない(?)、愛着のあるアイテムをご紹介いただきました。

大城道則先生

関西大学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期課程修了 博士(文学)、バーミンガム大学大学院 古代史・考古学学科 エジプト学専攻修了。主な著書に『ツタンカーメン 「悲劇の少年王」の知られざる実像』(中央公論新社刊)、『古代エジプト 死者からの声―ナイルに培われたその死生観―』(河出書房新社刊)、『図説ピラミッドの歴史』(河出書房新社刊)など。

資料の山に囲まれて研究に没頭

大城先生の研究室は、どこもかしこも資料でぎっしり。研究に対する旺盛な意欲が感じられます。同好の士には、宝の山に見えることでしょう。そんな部屋の中から、愛着のあるアイテムを4点選んでいただきました。

エジプト土産のパレットが扉を開いた

まず先生が見せてくれたのは、ナルメルのパレット。古代エジプトの王であるナルメルが、エジプトを統一した様子が描かれているとされるパレットです。

「これはレプリカで、お土産でもらったものです。私は大学1年のときにこのパレットに何が描かれているのかを研究発表し、指導教授から『図の解釈が面白い』と言っていただいたことがあります。その教授は今、関西大学の学長なのですが、未だに僕のレジュメを持っていると話していました」

高校時代から古代エジプト史に興味を持った先生は、全国の大学を調べに調べ、古代エジプト史の教授と出会いました。このパレットは、恩師と大城先生をつなぐ思い出の品と言えるでしょう。

学生時代から大切にしてきたエジプト文法書

次に紹介するのは、書棚から取り出してくれた文法書。至るころにマーカーが引かれていますが、なんでも先生は、大学2年の頃からこの文法書を使っているとか。

「今は新しい文法書もたくさん出ていますが、僕がもし学生さんにおすすめを聞かれたら、この本をプッシュします。とてもわかりやすくて、エジプト語を勉強するのにはもってこいだと思います」大城先生は、この文法書のある特徴が気に入っています。

「この本には練習問題もついているのですが、その解答が載っていないんです。だから、自分の頭で考えなければいけない。僕自身、学生の頃に先輩と『この問題の答えはこうじゃないか』と、さんざん議論しました。答えを知らない状態で議論すれば、斬新で面白い解釈が出てくるでしょう」

30万年前!心くすぐる古代への想い

3つめに取り出してくれたのは石器です。先生は、25歳のころから足掛け10年、シリアで発掘調査を行っていました。この石器は、その時に見つけたものだそうです。

「これはスクレイパーというナイフの一種で、獣の皮を剥ぐ際に使うものですね。おそらく30万~50万年前のものだと思います」

先生がこの石器を発見したのは、ISによって無残にも破壊されてしまったパルミラ遺跡。今も思い出したように取り出し、眺めることがあるといいます。

「当時は砂漠で調査していたので、辛い思い出もいっぱいありますが、この石器自体は癒しになる存在です。触っているとイマジネーションが誘発されますね」

実は大好きなサッカーと、想い出の品

最後に、先生の趣味と深い関わりのあるアイテムをご紹介。先生は大のスポーツ好きで、とくに部活動の顧問も務めるサッカーへの関心が高く、研究室にプロ選手のユニフォームを飾っています。

「この一着は、レスターの岡崎慎司選手のサイン入りユニフォームです。僕がイギリスで暮らしていた街とチームの本拠地が近く、レスターのサポーターである友人に紹介してもらってサインをいただきました」

もう一着は、駒澤大学出身で、2020年1月に現役を退いた巻誠一郎さんのロアッソ熊本時代のユニフォーム。「2006年ドイツワールドカップに行った男のサイン入りです」と、感慨深げに紹介してくれました。

「駒澤からプロに行く選手には、早くレギュラーになってサイン入りのユニフォームを持ってきてほしいですね。もちろん買い取りますよ(笑)」

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