先輩たちのその先のステージ

KOMAZAWA Next Stage

駒澤での恩師との出逢いが
自分が目指す臨床心理士の
イメージを形づくっています。

中村 紗耶香 さん
2007年3月卒業
文学部 心理学科 
→ 一般社団法人 日本うつ病センター 臨床心理士・公認心理師

「社会の役に立てるような人になりなさい」と幼い頃から父に言われていたのもあり、将来は医療に携わりたいと思っていました。小学校にスクールカウンセラーが配置され始め、カウンセラーという職業を知りました。中学生になって友人に勉強や生活の悩みを相談されることが多くなり、話を聞くことで人の役に立つことができるということが身近に感じられ、漠然とではありますが、心理職の道に進むことを考え始めました。
駒澤大学を志望したのは、駒澤大学大学院が第1種指定大学院※であったことが一番の理由です。臨床心理士の資格を取る上で大学院への進学が必要ということを知り、大学受験の段階で卒業後のことを視野に入れて大学を選びました。

※第1種指定大学院は、大学院を修了した翌年度に「臨床心理士資格試験」の受験が可能です。第2種指定大学院は、修了後1年以上の心理臨床経験が必要です。

目標となった恩師との出逢い

高校時代は硬式テニス部で、大学では「硬式庭球同好会さわやか」(当時)に所属していました。サークルも楽しんで、授業も頑張って、効率良くやれば両立も難しいことではありません。学部時代の私は、決して熱心に勉強をするタイプではありませんでしたが、心理学の授業は全てが興味深いものでした。臨床心理学の茨木 博子先生(2021年退職)のゼミに所属し、大切なことをたくさん学ばせていただきました。茨木先生は臨床心理士としてもご活躍されていたので、現場での体験談を聞いたり、ゼミ合宿では先生のご専門の一つである「心理劇」というシナリオや役割を決めて即興で演技をしながら行う心理療法を体験しました。それまで私が抱いていた心理士の静かなイメージを覆すような、明るくバイタリティ溢れる先生のお人柄に触れながら学べたことで、私が目標とする臨床心理士の人物像は茨木先生に影響されているところが大きいと思います。

臨床現場で活きた、学部と大学院での学び

学部1年次に「コンピュータ実習」というパソコン操作を学ぶ必修科目がありました。卒業論文や研究結果をまとめるのに役立つと聞いていたのもありますが、単純に面白くてかなり力を入れていたので、院生時代にはコンピュータ実習のティーチングアシストを行う位身に付いていました。私の場合、カウンセリング中の記録やカルテ上での医師へのすばやい報告、報告書等文書の効率的な作成など、このスキルがなければ今の仕事は成り立ちません。
大学院では臨床心理士の受験資格を得るために、駒澤大学コミュニティ・ケアセンターでの実習と、外部の病院での実習を行いました。この時に実習先の病院の先生に添削していただいたファイルは、今でも心理検査の所見で報告書を書く際に参考にすることもあり、役立っています。また、茨木先生のご紹介で沖縄の単科病院でも1週間実習を行いました。総合病院と単科病院では入院されている患者さんの体調も違い、さまざまな病院で実習できたことは貴重な経験となりました。
心理士が求められる現場は病院だけでなく教育関係や乳児院など多彩です。私は「病院で心理以外の職種ともたくさん関われるところ」「複数の心理士がいるところ」「常勤」という希望で就職活動を行いました。初めに内定をいただいたところは乳幼児の発達評価を行うことが多く、私が積極的に学んでいた分野ではありませんでしたが、コミュニティ・ケアセンターで発達検査の実習を行っていたのでスムーズに対応することができました。駒澤では、基礎をしっかりと、オールマイティに心理士としての技術を一通り学ぶことができます。

心理職を目指すみなさんへ

臨床心理学では「共感」が大切とされますが、年齢も職業も多様な患者さんに共感するために、心理の勉強だけではなく、社会のことにも興味を持ち、たくさんの人と接して色々な経験をしてほしいと思います。私の場合、テニスサークルで他学部や学年の方と活動できたことが大切な経験だったと今になって実感します。
心理士は他人とセッションしながら行う職業です。患者さんだけではなく、一緒に働いている医師や看護師、ソーシャルワーカーなど「チーム医療」の中で、重要な役割を担えるような心理士になれるよう、日々学びながら業務に取り組んでいます。

まれにオーダーされる心理検査もあるので、大学院の実習で得た結果は貴重な資料です。 (撮影協力/六番町メンタルクリニック)

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