NOZOKIMI LAB

多彩な異文化を学び、社会への実践力を磨く場

実践的な英語力を磨き、グローバルな情報の本質と情報を伝えるメディアを学ぶグローバル・メディア・スタディーズ学部。
その中で、異文化コミュニケーションをテーマに研究する杉森ゼミの魅力に迫る。

杉森 建太郎 先生

静岡県出身。東京外国語大学外国語学部インド・パーキスターン語学科卒業、テンプル大学 教育学研究科 TESOL 博士課程単位取得。現在駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部 グローバル・メディア学科講師。英語教育と差別、在日アジア系外国人、異文化コミュニケーション、言語政策が研究テーマ。主な論文に『10年間の教育と研究の回顧と今後の展望:TESOLから差別まで』(ジャーナル・オブ・グローバル・メディア・スタディーズ)など

高橋 麗美さん

グローバル・メディア・スタディーズ学部グローバルメディア学科3年。「子どもの頃から英語を学んでいて、将来は外国人と交流できる仕事に就きたいと思いこのゼミに入りました」

金子 結香さん

グローバル・メディア・スタディーズ学部グローバルメディア学科3年。ゼミでの研究テーマは日本人の人種差別意識の芽生えとその緩和策。「自己分析が活動に含まれていて就活に直結するのもこのゼミの魅力です」

根岸 成海さん

グローバル・メディア・スタディーズ学部グローバルメディア学科3年。「小学校の頃、ダンスをやっていたときに外国人と交流し、高校のときにホームステイを受け入れたり、国際交流が好きでこのゼミに入りました」

松本 真紀さん

グローバル・メディア・スタディーズ学部グローバルメディア学科3年。「高校生のときの留学も含め、これまで15ヶ国くらい行ったことがあり、異文化交流や民族性に興味があったのでこのゼミを選びました」

実践的なインタビューで
質的研究を学ぶ

インタビュアー
杉森先生、ゼミ生の皆さん、本日はゼミの内容についていろいろうかがえればと思います。まず最初にゼミのテーマについて教えてください。
杉森 建太郎 先生
よろしくお願いします。ゼミのテーマは異文化コミュニケーションで、その中で在日外国人やマイノリティグループとの多文化共生を研究しています。
インタビュアー
多文化共生とはどういうことですか?
杉森 建太郎 先生
例えば、個人でやっているのが約4万人いる在日タイ人の研究。80年代に日本に来たタイ人の女性たちが日本人と結婚して子どもをもうけて、その子どもたちが大人になっているんですが、その子たちが日本という国で自分たちのアイデンティティをどう考えているのか、ルーツ言語であるタイ語の継承等の問題についての研究です。
インタビュアー
ゼミも同じ内容でしょうか?
杉森 建太郎 先生
ゼミでは、それぞれが興味ある在日外国人グループやLGBTQといったマイノリティグループから自分でテーマを決めて、その人たちのところにインタビューに行きます。
インタビュアー
実際にインタビューに行くんですね!
杉森 建太郎 先生
インタビューを通じて質的研究の方法を学ぶんです。
インタビュアー
質的研究とは?
杉森 建太郎 先生
研究方法は2つあって、まず量的研究は「学生1000人に聞きました」のような集団の傾向を探るアンケート。
杉森 建太郎 先生
研質的研究は、少人数を対象に、取材目的に即したインタビューを事細かにして、観察し、記録をつくる研究方法です。
インタビュアー
なるほど。でも学生の人がいきなりインタビューをするのは難しそうですね……。
杉森 建太郎 先生
なので段階を踏みます。インタビューは3年生からなのですが、まず学内で同じ学生を対象にして練習します。そのあと外に出てグループインタビューをして、4年生になったら個別にテーマを決めて一人でインタビューにいきます。
インタビュアー
それは実践的でいいですね。高橋さんはインタビューを経験されてどうでしたか?
高橋 麗美さん
まだ学内でしか経験してないですが、話かけるところから苦労しました……。
インタビュアー
緊張しますよね。
高橋 麗美さん
なんとか立ち止まってもらって、インタビューしましたが、途中でしどろもどろになって。でも、聞きたいことは聞けたのでいい経験になりました!
インタビュアー
すごく実戦的で度胸もつきますね。

楽しみながら
プレゼンや議論の技術を養う

杉森 建太郎 先生
そうやってインタビューを行い、その結果をパワーポイントでまとめ、グループプレゼンテーションをしてもらいます。
インタビュアー
人前で発表するんですね。
杉森 建太郎 先生
そうすることで、まず自分たちで考える能力が養われます。そして、集団の中で自分の意見を分かりやすくまとめ、プレゼンする力が培われるんです。それを何度も行います。
金子 結香さん
先生は、私たちがプレゼンや発言した回数をカウントしてくださっていて、それがポイントになって成績に反映されるんです。
インタビュアー
ポイント制とはおもしろいですね!
杉森 建太郎 先生
積極的に発言してもらうのが理想なんですが、なかなか日本の学生は欧米にくらべて引っ込み思案なので。
金子 結香さん
そのポイントは、先生の主観は入らず、毎回の授業が終わった後や成績を決める前に、生徒に内訳を表示してくださるので、これほど努力の結果が明確に成績に現れるゼミは他にはないと思います!
松本 真紀さん
そのおかげで、最初の頃より発言するようになりました(笑)
根岸 成海さん
自分の意見を言うことに抵抗がなくなりますね。最近はみんなが積極的に手をあげているので、全体の雰囲気がいいと思います。
インタビュアー
自然にプレゼン力がつくのは素晴らしいですね。
杉森 建太郎 先生
グループプレゼンテーションの後は、ディスカッションを繰り返します。
インタビュアー
さらに実践的な内容に。
杉森 建太郎 先生
ディスカッションは、他人の意見を理解したうえで自分の意見を論理的に述べるトレーニングになるんです。
根岸 成海さん
このゼミは、海外で育って日本に来た帰国子女やインターナショナルスクールに通っていた人など多様性がすごくあって、ディスカッションではいろいろな考え方が知ることができて新しい気付きが得られます。
インタビュアー
外国の方もいるんですか?
杉森 建太郎 先生
1学年に何人かいますね。これまでもタイやベトナム、中国、朝鮮、北米、ペルーにルーツを持つ方をゼミ生として迎えてきました。どうしても日本の私大は日本生まれ育ちの日本人が多く、多様性に乏しくなるので、留学生や外国にルーツを持つ方を歓迎しているんです。
インタビュアー
さまざまな異なる文化の人と生で交流できるのは貴重ですね。

距離が近く
自由な空気が流れるゼミ

インタビュアー
ゼミ生はどういった方がいますか?
杉森 建太郎 先生
グローバル・メディア・スタディーズ学部自体が女性が多く、そのなかでもゼミは、英語系、情報系、メディア系などに分かれ、男性は情報系に行く傾向があるのですが、うちは女性が圧倒的に多いですね。共通しているのは外国に興味があり、将来そういった方面を希望する人ですね。
インタビュアー
皆さんを見ていると仲がよさそうですね。
松本 真紀さん
毎年8月に2泊3日のゼミ合宿に行くので、そこで仲良くなりますね。
インタビュアー
合宿ではどういったことをするのでしょうか?
杉森 建太郎 先生
1つの目的は、4年生の卒論の中間発表とディスカッション。もう1つは、やはり同じ釜の飯を食べるので、関係性を深めるための交流の場として。
根岸 成海さん
去年やった、グループに分かれて風船を積み上げるレクリエーションがおもしろくてチームワークが生まれました。あと自由時間でテーマパークの水を浴びるアトラクションに乗ってずぶ濡れになったり(笑)
高橋 麗美さん
あったね(笑)それまで喋ったことがない人と仲良くなれましたし、4年生のゼミの中間発表を聞いて、自分の卒論にどう生かしていこうか考えさせられる良い経験になりました。
インタビュアー
学びも遊びも充実していますね!では、皆さんが考える杉森ゼミの魅力を教えてください。
根岸 成海さん
グローバル・メディア・スタディーズ学部で外国の異文化コミュニケーションは他の先生からも学べるかもしれませんが、日本人の先生から学べるのは杉森ゼミだけで、日本人の気持ちを分かってくださるのでとても学びやすいです。
松本 真紀さん
先生がタイやインド、アメリカ、カナダに住まわれていた経験があって、他にもいろいろな国に行かれているので、そういった海外のリアルな話が聞けるのも魅力だと思います。海外から帰った後のお土産も楽しみにしてます(笑)
高橋 麗美さん
あと、普段のゼミでもよくお菓子を配ってくれる(笑)
インタビュアー
それは楽しいですね。
金子 結香さん
私は、異文化について学べるのは勿論ですけど、就活や社会人に繋がる技術が学べるのもいいと思います。正しいレポートの構成やメールの書き方、自己分析の方法やエントリーシートのテクニックなど、すごく実用的です。
高橋 麗美さん
そういったことも含めて、先生はどんな質問でも無下にせず、優しく丁寧に教えてくさるので、何でも気兼ねなく言いやすい。そういう雰囲気だからこそ、しっかり学びたい気持ちになります。
インタビュアー
とても自由でいい環境なのが伝わってきます。では先生にとってゼミとはどういう場でしょうか?
杉森 建太郎 先生
学生にも最初から目的意識のある子もいれば、ない子もいます。どちらにせよ自己分析して将来の目標設定をし、それに向けて努力をしながら卒論を仕上げて、卒業後にやりたい仕事に就く。それが一番の理想で、そこにもっていくまで上手くアシストする場だと思っています。

取材時期:2018年11月

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