NOZOKIMI LAB

研究会での発表を通じて実践的な提案力を身につける。

企業戦略や企業の社会的責任をテーマに、そもそも「会社とは何か」を学んでいきながら、課題整理力、プレゼンテーションの基礎力、社会に出てからの地力を養っていく。

松田 健先生

新潟市出身。明治大学大学院商学研究科 博士後期課程修了。博士(商学)。ドイツ経営経済学の視点からの企業論、企業統治論、具体的には企業と社会の関係性についてが研究テーマ。経営学、商学、経済学をクロスオーバーさせながら、会社の存在意義を紐解いていく。主担当科目は「現代企業論」、「経営学基礎」など。

雨木 将太さん

経済学部現代応用経済学科4年。「新入生セミナーのときの先生のお話のおもしろさ、そして匂い立つ男の美学!に惹かれました。実際に演習を受けてより先生の魅力に気づかされています」

会社の在り方を知ることで
社会人に必要な基礎力を身につける。

インタビュアー
先生の所属は経済学ですが、ゼミのテーマは企業論。どちらかというと経営学に近いものになるのでしょうか。
松田 健先生
その通りです。企業論とは、いってみれば「会社とは何か」を紐解くことです。でも会社に対するイメージって人それぞれですよね。
インタビュアー
確かに、日本と海外でも大分違いますね。
松田 健先生
アメリカだとステークホルダーの中でも株主の利益が優先されます。欧州や日本ではもう少し広く捉え、従業員や社会との共生が重視されています。
インタビュアー
「会社」の見方、捉え方が異なるということでしょうか。
松田 健先生
そうですね。また、「会社」をどのように捉えるかということでは、経済学と経営学とでは見方が異なります。これは両者の学問的特質の違いが影響していると思います。例えば、経済学には原論がありますが、経営学には原論に該当するものがありません。しかし、近年では両者、特にミクロ経済学と経営学とは接近しているといえます。私は経営学が専門ですが、ミクロ経済学の知見を取り入れながら経営学、また商学を組み合わせていくことで、現代の企業と社会とを理解していこうということが、ゼミでも大きなテーマとなっています。
インタビュアー
一般的な意味での企業というよりも、企業の多様な在り方を多角的に研究していくという理解でよろしいでしょうか。
雨木 将太さん
駒大がある世田谷の商店街や買い物弱者が生まれてしまっている地域の取り組み方なども取材し、研究しています。
松田 健先生
地域社会の課題点を知ることで、新しい起業アイデアなんかも生まれていますよ。学生ならではのひらめきはすごいですね。
インタビュアー
学生起業家も増えていますよね。
松田 健先生
毎年、約150チームが参加する、日経BP社が運営している発表会で研究発表をしているのですが、本当にさまざまなアイデアが生まれています。優勝したゼミのプレゼンテーション以外にもおもしろい発表がたくさんありますし、私たちのゼミの目標も、この研究発表会での上位入賞に設定しています。
インタビュアー
目標設定があると取り組みやすいですね。その予選が9月、ゼミスケジュールを見るとそれまでに数々の研究発表会があります。かなり大変そう…?
雨木 将太さん
確かに毎週のように課題に追われていますが…ただ、チームで役割分担をしているのでそこまでではないかな?それよりもどうすればみんなが効率良く動けるかを考える方が始めは難しく感じました。
インタビュアー
社会に出て、会社組織で働くときと同じですね。
松田 健先生
厳格なルールというわけではないのですが、歴代のゼミ長はみな女性が務めています。またゼミ内の小グループでも、リーダーを女性が務めることも普通です。女性の社会的進出が促進されている現代社会に向けてという側面もありますが、本源的には男性・女性という性別に捉われずにチームを動かしてほしいと思っていますし、男性にも女性リーダーの下で働くことを経験する機会になっていると思います。
雨木 将太さん
男女だけでなく、学年の壁も越えて一緒に活動する機会が多いのも特徴かもしれません。
インタビュアー
現代の会社組織を疑似体験している感じですね。

会話して説得させる、
ビジネスをする上で一番大切なことを学ぶ。

松田 健先生
今の学生さんは、昔に比べて様々な意味で教養とでもいいましょうか、基礎力が弱いと思います。たくさんの本を読む機会が減っていますし。2年次はまず本、とくに専門書の位置付けから教えていきます。
インタビュアー
具体的はどのようなことをするのでしょうか。
松田 健先生
他の多くのゼミと同じですが、課題図書を与えて、まずは資料の読み解きをします。そこから自分たちにとっての課題事項を抽出させて、それをどのように扱いたいのか、またどのようにしたら人に伝わるのかを考えてもらいます。プレゼンテーションのテクニックだけ教えても社会に出たら通じません。まずはその基礎となる部分を徹底的に教えていきます。
雨木 将太さん
そのピークが合宿です。かなり厳しく教え込まれます。
インタビュアー
えっ、合宿って和気あいあいと楽しいイメージだったのですが。
松田 健先生
うちの合宿は結構大変ですね。OBOGが顔を出すこともありますし、朝から夜までレジュメ作成・発表の繰り返しです。
雨木 将太さん
作成した資料を発表し、ダメだしをされて直して発表することを3日間繰り返します。和気あいあいするのは最終日ぐらいですね。でもそのおかげで、基礎力が高まった感じがしています。ひとつのことにチームみんなで集中して取り組むので結束力が高まります。この人たちとは一生友だちでいられるんじゃないかと思うぐらい。
松田 健先生
参加してくれるOBOGから見れば、社会に出てからの方が厳しい!と言いますね。だからこそ、この時期にしっかりと地力をつけてもらえればと思っています。副次的な効果ではあるのですが、秋の日経BP研究発表会に向けてのメンタルの強化にもつながっていると思います。
インタビュアー
大勢の人の前で何かを伝えるって学生でなくても緊張するし、難しそう。
松田 健先生
経営学って、要は人の学問なんですよ。対企業、対顧客で、端的に言えば何かを買ってもらうのですから。どのように相手と会話、説得し、どうすれば納得してもらえるのか。もちろん「互いの利益になるように」です。ですので、発表のやり方もそうですし、レジュメもどんな見せ方が伝わりやすいかなど、細かく指導しています。
インタビュアー
他大学との交流会も多いですよね。
松田 健先生
身内だけだとどうしてもタコツボ化してしまいます。私たち教員も同じですが、できるだけ外との交流をしていくことが大切だと思います。自分とは違う考え方や意見を聞くことで、視野も広がっていくはずです。
インタビュアー
他大学と合同だとプレシャーありますね!間に合いませんでしたでは済みませんもんね。
雨木 将太さん
先生の人脈が幅広いので、いろいろな交流の機会が得られています。ゼミのオリエンテーションのときもその人脈の広さがわかるお話をされていて、また、専攻以外の事柄についての博識さ、さらにかっこ良さにひかれて参加することに決めました。
インタビュアー
確かに!先生、ダンディですよね!
松田 健先生
口が上手くなれば良いというものではないのですが(笑)
雨木 将太さん
いえいえ(笑)本当に初めてお会いしたときからこの人はかっこいいなって思ってましたよ。見た目だけでなく内面まで。僕たちがどう学んでいきたいか、成長していきたいかを親身に聞いてくれて、個々にそれを伸ばしてくれていると思います。
松田 健先生
私自身も本当に刺激を受けています!だからゼミっておもしろいのですよ。

取材時期:2018年11月

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