菅野佐織先生
学習院大学大学院経営学研究科博士後期課程満期退学。千葉商科大学商経学部専任講師、駒澤大学経営学部専任講師、准教授を経て、2015年より駒澤大学経営学部教授。2015年から2017年まで、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員。専門は消費者行動論。
研究室は心静かにリフレッシュできる場所
ミニコンポ、ぬいぐるみ、お子さんの写真――。やわらか陽の光が差し込む先生の研究室には、気持ちをリフレッシュするためのアイテムがそこかしこに置かれています。忙しない日々を過ごしているからこそ、研究に集中できる環境をしっかり整えているようです。
研究の成果を世に問う著書
研究室に入ってまず目を奪われるのが、壁一面隙間なく書籍が並ぶ書棚です。先生はそこから、共著者として名を連ねる『ライフコース・マーケティング』と『Gifts, Romance, and Consumer Culture』の2冊を取り出してくれました。
「『ライフコース・マーケティング』では、第5章の『変化する女性のライフイベントと消費』を執筆しました。ライフコースとは、枝分かれしていく人生の選択肢のことです。その過程において、就職、結婚、出産といったライフイベントがありますが、それらのイベントでどのように心理が変化し、いかに消費に影響するのかを論じています」
「『Gifts, Romance, and Consumer Culture』では、第12章においてセルフギフト、つまり“ご褒美消費”が東アジア人のアイデンティティへどのように影響しているのかを分析しています」
先生の専門分野が深く理解できる2冊。知的好奇心をくすぐられます。
アロマの香りでリフレッシュ
続いてご紹介いただいたのは、テーブルの上に置かれたアロマディフューザー。研究室をさわやかな香りで満たしてくれます。
「毎日、研究室に来て最初にするのが、アロマディフューザーのスイッチを入れることです。好みの香りに包まれた居心地のいい空間にいると気分が良くなるし、せかせかした気持ちも落ち着いてきます」
先生の気持ちを急かせる要因とは、いったい何なのでしょうか。
「教員として生徒たちの前に立つときはオンの状態で、そのままでいるとエネルギーを消耗してしまいます。なので、研究室でひとりになったときには、アロマで気持ちをオフに切り替えているんです。気ぜわしくしていてもと良いことがないですからね(笑)」
確かに。急いては事を仕損じるとはよく言ったものです。
アメリカ生活を思い出させるガラスの器
最後に見せてくれたのは、美しいガラスの器。こちらは一体……?
「ムラノガラスのオブジェです。私は在外研究でアメリカのバークレーに2年間いたのですが、そのときに家族で住んでいた家のオーナーが、帰国する際にプレゼントしてくれました」
こんなに素敵なオブジェをプレゼントしてくれたオーナーは、どんな方でしたか?
「彼はアルメニアからの移民です。腕利きの家具職人で、ミッドセンチュリーの家具を修理して生計を立てています。私たちの英語の発音をチェックしてくれたり、生活面でいろいろとサポートしてくれました。アメリカのお父さんのような存在ですね」
思い入れの強いアイテムなので飾らずに保管し、時折引っ張り出しては眺めているそうです。
「忙しいと美しいものを見る機会がなくなっていくので、このオブジェはとても大切な存在です。こうして眺めていると、楽しかったアメリカでの生活を思い出しますね」