先輩たちのその先のステージ

KOMAZAWA Next Stage

「博物館」は楽しいところ。
幼い頃の感動を、
たくさんの人に伝えたい。

佐々木 優 さん
2013年3月卒業
文学部 歴史学科 日本史学専攻 
→ 北区飛鳥山博物館 学芸員

学芸員を目指したきっかけ

家では時代劇や大河ドラマが流れ、家族が読んでいた歴史の本が身近にある環境でした。私も自然と歴史が好きになり、中学生の頃から、漠然と将来は歴史関係の仕事に就きたいと思い始めました。文化財の普及活動や研究する仕事がしたいのか、文化財を修復して後世に伝える仕事がしたいのか、志望校を決める頃まで悩んでいましたが、みんなで歴史について話したり、展示品を見て歴史に興味を持つきっかけを作ることができる「博物館」が自分は好きなんだと思い、学芸員を目指しました。

恩師・小泉雅弘先生との出逢い

学部時代、長野県で「収集」の実習を一週間行ったことをよく覚えています。史料に触れ、直接地元の方にお話を聞いた経験は、今考えてもとても貴重だったと思います。駒澤大学には地方の歴史に詳しい先生がたくさんおられますが、私自身も、大きな展開がある歴史だけでなく、地域の歴史も学んでみたいと思うようになりました。
「博物館学講座」では、博物館や学芸員に必要な知識だけでなく、どういった業務があるのかを実践的に学びました。また、人と関わる仕事なので、どのような姿勢であるべきかということを教えていただきました。例えば、「授業中は机の上や通路にバッグや飲み物を置かないこと」は、それはマナーだからということだけではなく、「もし資料を持っている人が通り、引っかかって資料が破損してしまったら?」という理由からで、教科書には載っていませんが、学芸員となった時に必要な意識を普段から習慣づけるために重要なことでした。
所属していた「幕末維新史研究会」(サークル)の活動からもたくさんの学びを得ることができました。他の学生のテーマ・研究を見聞きするうちに、自分の考えが変わったり、理解度が上がることもあり、自分だけでは見るきっかけがなかった史料にも出会うことができました。
授業・「博物館学講座」・「幕末維新史研究会」とお世話になった歴史学科の小泉雅弘先生には、大学院に進んだ後もずっとご指導いただきました。学部時代からよく学会に連れて行ってくださいましたが、研究者の方々と話す機会がたくさんあったことは、自分も頑張ろうという良い刺激になったと思います。今振り返ると、もっと勉強しておくべきだったという後悔と、若い頃の失言を思い出して頭が痛くなりますが、たくさんの学びの場を提供していただいた先生方と友人に恵まれて、必死ながらも本当に楽しい学生時代でした。

学部時代の佐々木さん。(前列右から2番目)

博物館業務の楽しさと難しさ

北区飛鳥山博物館は区や近隣地域に関する展示を行う博物館であるため、昔からこの地に住んでいる来館者の方が私よりも北区に詳しいということもありますが、ありがたく勉強させていただいています。北区飛鳥山博物館以外での学芸員経験もありますが、以前の経験がどんな時でも通用するわけではないので、常に新しいことを勉強していく必要があります。学芸員として、企画展示の準備や講座の講師の他、資料収集などに関わる機会もあります。
博物館に行かなくても本やネットで調べて分かることもあり、「博物館は何のためにあるのか」ということを自分自身問い直すこともあります。しかし、資料が使われていた痕跡に気付いたり、ネットの写真と比べると色が全然違ったりなどという、実物を見なければ分からないことをを知り、「一体なぜなんだろう?」と考えることができる場所が博物館です。私が小さい頃に感じた、博物館は楽しいところなんだということを、多くの人にもっと知ってもらいたいと思っています。

学芸員を目指すみなさんへ

学芸員は、資料と来館者の間に立って、その資料が持つ情報を色々な角度から引き出し伝えることのできる職業だと思います。学芸員に必要なスキルは多く、資料を解釈する力はもちろん、資料を扱うためにも手先は器用な方がいいですし、掲示物を作るためにデザインもできると役に立ちます。

受験生のみなさんには、色々なものを見て、たくさんのことを吸収してほしいと思います。その時すぐには役立たなくても、きっと後々栄養になっていることを感じることができるでしょう。今見られるもの、今触れられるものに、全力で向き合ってみてください。

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