熊本 史雄先生 文学部 歴史学科 日本史学専攻
山口県生まれ。筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科日本史学専攻中退。2008年4月~2014年3月駒澤大学文学部准教授、2013年4月~2014年3月、ロンドン大学LSE(ロンドンスクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)国際政治史学部 客員研究員。2014年4月より、文学部歴史学科日本史学専攻教授。
著書「外務官僚たちの大東亜共栄圏」(新潮選書)が優れた図書に贈られる「第25回 大佛次郎論壇賞」(株式会社朝日新聞社主催)を受賞しました。歴史・学術・論壇の主要各賞を席巻する異例の「トリプル受賞」となりました。
近年はデジタルデータベースが発達し、検索すればすぐに論文が見つかる便利さがあります。しかし、質の担保が不十分なものも多く、信頼性の見極めが難しいという課題もあります。また、図書館で書架を歩く中で偶然得られる周辺知識に触れる機会が減っており、デジタルだけに頼らず、アナログの検索方法や文献を体系的に把握する力を身につけることが重要です。史料の読解においても、日記・公文書・新聞など種類によって読み方のポイントが異なり、内容を正確に理解するためにはそれぞれに応じた技法が求められます。3年次にはこうした基礎的な読解力を徹底的に鍛えます。
毎年夏には3・4年生合同で合宿を行い、広島平和記念資料館や江田島の旧海軍兵学校跡地、長崎原爆資料館や軍艦島などを訪れ、実感を伴った理解を深めます。また、国立公文書館や外務省外交史料館、宮内庁書陵部などを見学し、資料保存の現場を知る機会も設けています。学生の関心も多様化しており、政治史・外交史だけでなく、文化史・社会史やジェンダーに関わるテーマを選ぶ学生が増えています。歴史学を学ぶことは、過去の出来事を知るだけでなく、当時の人々が抱えた不安や葛藤、選択の背景を想像し、追体験する営みでもあります。戦争や社会の混乱期を生きた人々の判断を現代の価値観だけで断じることはできません。資料を通して彼らと向き合うことで、安易な批判や単純な善悪論から距離を置き、他者の立場を理解する姿勢が育ちます。こうした想像力と相対的な思考は、人に対して寛容であろうとする態度につながり、歴史学が「人に優しくなれる学び」だと私が考える理由にもなっています。

原爆ドーム前にて(2025年広島合宿)

広島県立文書館の前で(2025年広島合宿)

江田島にて(2025年広島合宿)

厳島神社にて(2025年広島合宿)
取材時期:2025年11月
