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<駒大ゼミの挑戦状>英語だけじゃない! 世界共通の言語「会計」

いまやビジネスの舞台は日本だけでなく、海を越えてどんどん広がっています。そうしたなか、経済学部商学科の石川祐二先生は、英語だけでなく会計も“世界共通の言語”としてぜひ学んでおきたいと話します。
その理由やおもしろさを教えていただきました。

経済学部 商学科
石川祐二先生

当初は会計の専門職に就こうと考えていたが、所属したゼミの先生に惹かれ、研究職の道へ。専攻はドイツ会計制度。自他ともに認める活字中毒で、ジャンルを問わず読書の日々。

王室等の財産管理を目的に生まれ、世界へ広がった会計


会計学の授業では電卓がマストアイテム。数学が苦手な人もこれなら大丈夫?!

そもそも会計とは何なのか。お金に関連することはわかるけれど、「数字がいっぱい出てきて難しそう……」と学ぶ前から苦手意識をもってしまう人も少なくないのでは。でも、ご安心あれ。確かに数字を扱いますが、厄介な公式は必要ありません。四則計算ができればOK。しかも電卓を使っていいのですから、なにも恐れることはありません(笑)

会計をひと言でいえば、「お金の流れを記録して報告すること」。何に、どのくらい使ったのか。皆さんにとって身近な家計簿も会計のひとつです。

その記録方式(=簿記)のルーツを紐解けば、今から500年以上も前に本が出版されるなど、遙か昔にさかのぼります。簿記は、王室や銀行家、商人たちが財産管理を行うために、欧州で生まれました。それ以前はお金のやりとりを紙に記録することはほとんどなく、人の記憶等に頼っていたので、揉め事はしょっちゅう。そこで解決策として、きちんと文書に残して“見える化”(=報告)しようと考えられたのが会計です。

その後、産業革命が起こり、株式会社が増えていくと、ますます会計の重要性が高まっていきました。どんな活動をして、どのくらい儲けがあり、どう分配するのか。株主から出資してもらうために、会社は情報提供する必要があったのです。日本にも明治時代に現代のような会計のしくみが入ってきました。こうして会計は、洋の東西を問わず、世界中に広まっていったのです。

就活でも実社会でも役立つ会計情報を読み取る力


会計を言語の一種としてとらえる恩師の考え方に共感。そのきっかけとなった本

一般に、会計は大きくふたつに分けられます。ひとつは、企業外部に向けて情報提供する「財務会計」。株主やこれから株主になる人たちに向けて、「私たちの会社は、1年間の活動の結果としてこうなりました」と報告するものです。

もうひとつは、企業内部に向けての情報提供で、「管理会計」と呼ばれています。経営者が意思決定を行うために必要とされ、例えば来年の予算をどう組むかなどを検討したり、見直したりするときに使われます。

私の担当するゼミの授業では、この管理会計の分野で扱う情報を題材にして、いろいろ分析していきます。「財務諸表」と呼ばれる会計情報をどう読み取っていくか。単なる数字の羅列ではなく、その数字が伝える真の意味を探っていくのです。

この力がつくと、就活はもちろん、社会人になってからも大いに役立ちます。めざす企業の経営状態はどうなのか。将来性はあるのか。新たに取引しようとする企業は信頼できるのかなど、噂やニュースに惑わされることなく、財務諸表という文書から冷静に判断することができるようになるでしょう。

会計情報で扱うのは単なる数字ですが、その数字がどう用いられているかによって、示す意味はさまざま。まるで言語のように雄弁に物語っています。

会計とは世界共通の言語である――。かつて私の恩師が語り、私自身もそう思う理由は、まさにそこにあります。食わず嫌いになることなかれ、ぜひ会計学という学問にチャレンジしてみてください。

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