NOZOKIMI LAB

新時代のヴィジョンを描ける人材を育成するゼミ

フランクな人柄と的確な指導でゼミ生に親しまれている井上先生。一人ひとりの自主性を育むため、プレゼンテーションとディスカッションをメインとする内容で、生徒から支持を得ています。

井上ゼミ

井上 智洋先生

慶應義塾大学環境情報学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科へ進み、2011年に博士号(経済)を取得。2015年より駒澤大学経済学部で教鞭をとる。2017年より同大学准教授。マクロ経済学や経済成長理論、人工知能が経済に与える影響の研究に取り組み、ゼミでは学生73人(男子37人、女子36人)とともに学びを深める。学生が主体となって経済問題を発見し、その解決案を考えることで、個々の問題発見・解決力を磨く。著書に『人工知能と経済の未来』(文藝春秋)、『ヘリコプターマネー』(日本経済新聞出版社)など多数。登山サークルの顧問も担当し、アクティブな一面も。

深尾 友稀さん

経済学部商学科3年。井上ゼミ、ゼミ生。「プレゼンというアウトプットのできる環境が整っている井上ゼミに魅力を感じました」

鎌田 なな子さん

経済学部経済学科2年。井上ゼミ、ゼミ生。「インゼミで優勝しているところに惹かれました」
※インゼミとは年2回、3つのゼミが合同で開催するプレゼン大会のこと。

プレゼンとディスカッションで自主性を育む

インタビュアー
今日はよろしくお願いいたします。まずは井上ゼミの概要から教えてください。
井上 智洋先生
はい、よろしくお願いします! 私のゼミで扱っているテーマは、経済問題や経済政策です。言葉にすると漠然としていますが、生徒自身に興味を持てることを見つけてほしいという思いがあり、わざと幅を持たせているんです。
インタビュアー
経済学のなかでも先生のご専門はどのような分野になるのですか?
井上 智洋先生
私の専門はマクロ経済学で、副業でAI(人工知能)について講演したり、雑誌に記事を書いたりしています。最近はAIが経済に与える影響を論じる機会が多いのですが、AIは自分で何かを発見したりすることはできません。AIが活躍する時代になると、知識を身に付ける必要性がさほどなくなってくるので、ゼミ生には何かを発見するための主体性や行動力を身につけてほしいと思っています。
インタビュアー
なるほど。時代の趨勢(すうせい)を見据えて、学生の自主性を育もうとしていらっしゃるんですね。
井上 智洋先生
まさしくそうです。ただし、いきなり「テーマを探してきて」と言っても難しいところがあるので、最初は何冊か本を用意して、その中からテーマを決めてもらいます。本の内容は、AI、環境経済学、労働問題、格差、地域再生など、学生が興味を持ちそうなものをラインナップしています。
インタビュアー
テーマが決まった後は、どのように研究を進めていくのでしょうか。
深尾 友稀さん
各グループのメンバーが各自で本やネットニュースを読み込み、プレゼンに使える箇所をまとめます。それからスライドをつくり、プレゼンするという流れですね。プレゼンの後には質疑応答もあるので、ひとつでも多く情報を仕入れるよう心がけています。
インタビュアー
井上先生は、スライドをつくるまでのプロセスにおいても自主性を重んじていますか。
井上 智洋先生
基本的にはそうですね。ただ、最初の1回目だけは各グループのプレゼンに対して「こうした方がいい」と話します。
インタビュアー
具体的にはどのように?
井上 智洋先生
パワーポイントにおける文字やイラストの大きさ、行間の詰め方、図の重要性、スライドの枚数に対する説明の適切な長さ……。その他に、内容面でもいろいろと指摘します。でも、それ以降は、指導らしい指導はほとんどしませんね。
インタビュアー
井上ゼミと講義との違いはどのあたりにありますか?
井上 智洋先生
ゼミは学生が主体的になる場です。講義で一方的に先生の話を聞いているだけだと心に残りませんが、プレゼンやディスカッションでアウトプットをすることで――質問をするという行為もアウトプットです――記憶に残るし、糧になっていくと思いますね。

雰囲気はゆるいけれど、締めるべきは締める

インタビュアー
深尾さんと鎌田さんは、どのようなきっかけで井上ゼミを選んだのでしょうか。
深尾 友稀さん
プレゼンがメインのゼミだったからです。もともと、社会に出て競争に勝つためにはインプットした知識をうまくアウトプットする必要があると考えていたので、プレゼンというアウトプットのできる環境が整っている井上ゼミに魅力を感じました
鎌田 なな子さん
ゼミの説明会に行ったときに、あまりガチガチじゃない雰囲気がいいなと思って。でも、説明を聞いたときに、ゆるいけどインゼミで優勝していると聞いて、惹かれるところがありました。
井上 智洋先生
ちなみにインゼミというのは、年に2回、3つのゼミが合同で開催するプレゼン大会のことです。学生が自主的にがんばってくれるので、私たちのゼミは3年間で計6回の優勝と準優勝を獲得しています。
インタビュアー
それはすごいですね!
深尾 友稀さん
井上先生は良い意味でいつもゆるい雰囲気なのですが、それでいて優秀というのがカッコいいですね。普段自由にやらせてもらっているから、井上先生の顔を立てるという意味でも、インゼミでは結果を出そうと思っています。やるべきことをしっかりやるというのは、ゼミの3年生の共通認識です。
鎌田 なな子さん
私たち2年生より3年生の方が優秀です(笑)
深尾 友稀さん
そういえば以前、2年生の一人がプレゼンなのにスライドをつくってこなかったことがあって。さすがにチャランポランすぎると思うんですけど、井上先生は「つくらなくても発表はできる」という話をされて。こういうスタンスを取れる先生は、あまりいないと思います。
井上 智洋先生
スライドを使わずに素晴らしいプレゼンができるなら、それはそれでいいと思ったんです(笑)
インタビュアー
深尾さんと鎌田さんは学年が異なりますが、2年生と3年生が同じグループに入ることもあるのでしょうか。
井上 智洋先生
ありますね。1グループ8名なのですが、どのグループも2年生と3年生の混成です。
インタビュアー
鎌田さんは、同じグループの先輩からプレゼンのアドバイスを受けたりしますか?
鎌田 なな子さん
はい、とても丁寧に教えてもらっています。印象的だったのは、インゼミの発表のときに言われた「メモは書きすぎず、ポイントだけにした方がいいよ」というアドバイスです。この考え方は、たぶん井上ゼミの特徴になると思います。
井上 智洋先生
今、感心しました!僕の言いたいことが、先輩から後輩にしっかり伝わっていますね。

井上ゼミは自分の言葉を紡ぐための訓練の場

インタビュアー
ずばり、井上先生の「言いたいこと」とは?
井上 智洋先生
僕がゼミでプレゼンとディスカッションをメインにしているのは、社会に出て自分の言葉で話せる人間になってほしいからなんです。だから、プレゼンでただただメモを朗読するだけの学生に対しては、少しだけ厳しく接しています。
インタビュアー
なるほど、そういう理由があったんですね。
井上 智洋先生
就活における面接でも、商談におけるプレゼンでも、メモを読んで人に何かを伝える機会はそう多くありません。その場で思いついたことをポンポンと自分の言葉にしなければならない。ゼミでは自分の言葉を紡ぐ訓練をして、発想力のある人間になって、それから社会に出てほしいと思っています。
インタビュアー
今の話を受けて、深尾さんと鎌田さんはいかがですか?
深尾 友稀さん
確かに、発想力は身についたかも。僕はゼミで井上先生の話を聞いてから、AIで日本を変えられるんじゃないかと本気で思い始めて。将来的にはAIコンサルタントになって、人口が減っていく社会を補うような仕事ができればと考えています。
井上 智洋先生
新しいヴィジョンやビジネスモデルを構想できる人材を育てたいとは常々思っていたんですけど、できてますね(笑)複雑な経済現象から重要なエッセンスを取り出し、それを頭の中でモデル化して、解決の手段に導く。経済学は、そういう人材を育てる学問ですから。
鎌田 なな子さん
私は深尾さんほど具体的ではないですが、以前よりも経済に関するニュースや出来事に興味が持てるようになったのが大きな収穫でした。
インタビュアー
最後に、読者である高校生へのメッセージをお願いします。
深尾 友稀さん
大学は良くも悪くもほったらかしなので、何事も自分で考えて積極的に動いてほしいです。このゼミでは経済に関するいろいろな題材を扱うので、質問力がつくし、社会で起きている事象の幅広い知識が得られると思います。
鎌田 なな子さん
井上ゼミは、高校のホームルームの延長線上のような感じです。私はそれほど経済に詳しくなかったのですが、自然と知識が身につくので、プレゼンも楽しくなってきました。
井上 智洋先生
現代は、AIやIoT、シェアリングエコノミーや仮想通貨など、世の中を変えるような新しい技術、ビジネスがどんどん出てきている時代です。社会の仕組みが激変するときは厳しい面もありますが、圧倒的におもしろくもある。時代の変化に対応して楽しめるようになりたい人は、ぜひ井上ゼミに来てください!

取材時期:2018年12月

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