NOZOKIMI LAB

社会人に必須となる“端的に話す力”が身につくゼミ

「政治は生活全般と関りがあります」。清滝仁志先生は、学生の自主性を重んじて研究テーマにほぼ制限を設けず、発表を通じて話す力を養ってほしいと語ります。
今回は、4年の太田朱音さん、3年の鳥飼広貴さんを迎え、ゼミの内容について詳しく伺いました。

清滝 仁志 教授

福岡県出身。九州大学法学部卒業後、九州大学大学院法学研究科博士課程修了。2004年より駒澤大学法学部教授・博士。2011年から2013年まで、トロント大学客員研究員。政策研究フォーラム理事。専門は西洋政治思想史で、著書に『純理自由主義者 河合栄治郎 改革者の使命と実践』(啓文社書房)など。

太田 朱音さん

法学部政治学科4年。応援指導部所属。「ゼミのおかげで、政治のニュースに対する関心が高まりました」

鳥飼 広貴さん

法学部政治学科3年。野球部所属。「発表の機会が多く、話す力が少しずつついていくのがわかります」

テーマは自由
興味・関心を掘り下げる

インタビュアー
本日は先生のゼミについて詳しく教えていただければと思います。
清滝 仁志 教授
わかりました。よろしくお願いします。
インタビュアー
まずは先生のご専門を教えてください。
清滝 仁志 教授
私の専門はイギリスをはじめとする西洋の政治思想です。ただ、研究はもう少し広範囲に及んでいまして、2019年3月には『純理自由主義者 河合栄治郎 改革者の使命と実践』(啓文社書房)という、日本の思想家をテーマにした本を出版しています。
インタビュアー
授業で教えているのはヨーロッパの政治思想全般なのでしょうか。
清滝 仁志 教授
そうですね。アリストテレスやプラトンなどの思想・哲学について教えています。思想と歴史、まさに学生の苦手なものがふたつ重なっている学科ですね(笑)
インタビュアー
そんなことはないと思います(笑)それでは、ゼミの内容について教えていただけますか。
清滝 仁志 教授
私のゼミは、2年と3年でガラリと学ぶことが変わります。2年のときは、前期で福沢諭吉の『福翁自伝』とマキャベリの『君主論』について調べ、レジュメとしてまとめてもらっています。後期になると、その時の時事問題全般について調べてもらいます。
インタビュアー
3年生になると、どのような内容に変化するのでしょうか。
清滝 仁志 教授
大きな違いとしては、発表する機会が増えます。前期は、関心を持ったテーマについてみんなに発表してもらいます。後期になると、今度はグループによる発表をしてもらい、それぞれの内容を評価し合います。また、合宿や社会見学をしたり、論文を書いてもらったりもします。
インタビュアー
ゼミ生に発表をしてもらう際は、特別なテーマを設けないのでしょうか。
清滝 仁志 教授
基本的には自由です。タイムリーな時事問題もあれば、駒澤大学の魅力を伝える方法や、社会人と学生の違いについても話してもらうこともあります。時折、サイコロを振って出た目でテーマを与え、即座に話をしてもらうといったこともやっています(笑)

主張するなら
裏付けとなる根拠が必要

インタビュアー
太田さんと鳥飼さんは、なぜ清滝先生のゼミを選ばれましたか。
太田 朱音さん
政治学科はゼミに入ることが強制ではないのですが、同じ学科の先輩から「ゼミには絶対入った方がいい」と言われ、その中で清滝ゼミを勧められました。内容の充実度はもちろん、就活の相談を親身になって聞いてくれるというのが決め手でしたね。
鳥飼 広貴さん
強制ではないけど何かしらのゼミに入りたかったというのは、私も同じです。それで、部活の先輩から清滝先生のゼミを教えてもらい、就職活動などで役立つ話す練習ができると聞いて、入ろうと思いました。
清滝 仁志 教授
基本的には自由です。タイムリーな時事問題もあれば、駒澤大学の魅力を伝える方法や、社会人と学生の違いについても話してもらうこともあります。時折、サイコロをまあ、政治思想が好きだと言って入ってくる子はいませんね(笑)
インタビュアー
先生ご自身がそんなことをおっしゃらないでください(笑)先生はゼミにおいて、学生のどんな力を伸ばしたいと考えておられますか。
清滝 仁志 教授
政治学科で教えていることはとても範囲が広く、たとえば同じ学部の法律学科と比べても、その内容を明示するのが難しいんです。そんな中でも、自分の視点で物事を見て考え、自分の意見を言えるような力を養ってもらえたらと思っています。知識を身につけるのとは異なる学問ですね。
インタビュアー
先たしかに、社会に出ると会話やコミュニケーションはより大切になりますね。
清滝 仁志 教授
たとえば、政治学者が「日本は民主主義が不十分だ」という主張をしても、根拠に乏しければ世の中には受け入れられません。根拠がなければ、テレビの通販番組においてある人が商品の効能を話している最中に、画面に「個人の感想です」というテロップが流れるのと同じレベルになってしまいます。
インタビュアー
なるほど。主張には根拠が必要、と。
清滝 仁志 教授
そうですね。そういったことについて、重点的に学べるゼミになっていると思います。

人前での発表で
話す力が着実に身につく

インタビュアー
そんな先生のゼミについて、率直な感想をお聞かせください。
太田 朱音さん
清滝ゼミは、興味を持ったことについて自由に調べられるのが良い点だと思います。また、先ほど先生から、サイコロを振って出た目で話す内容を決めるという話がありましたが、急に突拍子もないことについて話したりすることで(笑)、会話の対応力がついている気はしますね。
鳥飼 広貴さん
私も、とにかく話すことに特化しているという印象を受けます。また、自分でテーマを決めて調べ、最後に発表するという流れで、すべてが自分次第というところもあります。同じテーマを調べていても、人によってまとめ方が違うという新たな発見がありますね。
インタビュアー
先生から見て、おふたりの成長度合いはいかがですか。
清滝 仁志 教授
(ふたりに向かって)以前よりも話せるようになったでしょう?
鳥飼 広貴さん
なっていますね。部活やアルバイトにおいても、伝えたいことを過不足なく伝えられるようになりました。
太田 朱音さん
私は4年ですでに就職先も決まっているのですが、就活では先生のアドバイスが役立ちました。先生の「要点をまとめて端的に述べなさい」という言葉を常に意識していたからか、内定先の面接官の方からも「話の内容が良かった」というフィードバックをいただけました。
インタビュアー
先生の狙いどおりですね。
太田 朱音さん
そうですね。面接対策講座を受けなくても、先生のゼミで十分でした。就活では、どんな大学を出ているかということよりも、話す能力が重要視されているように思いました。
清滝 仁志 教授
ゼミが始まる最初の頃はね、「夏休みはどうしてたの?」と聞いたら「海に行って楽しかったです」と、小学生のような受け答えをする子もいるんです(笑)でも、だんだんきちんと話せるようになっていく。それはふたりもそうです。これからも私のゼミでは、自分の頭で考え、自分の言葉で話すことの大切さを伝えていきたいですね。

取材時期:2019年10月

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