先輩たちのその先のステージ

KOMAZAWA Next Stage

恩師から受け継いだ学びを
次世代の研究者に繋げたい

久保 尚也 先生
2005年3月卒業
文学部 心理学科 
→ 駒澤大学 文学部 心理学科 教員

「心の闇」とは何なのか、その疑問が心理学に興味を持つきっかけに
私が中学生くらいの時期、同年代の少年による世間を震撼させた犯罪が起き、さかんにその動機を「心の闇」という言葉で語っていました。「心の闇」とは一体何なのかというところから、人の心理に興味を持ち始め、ちょうどその頃にカウンセラーという職業があることを知りました。
私が大学を受験した当時は、まさに心理学がブームになり始めたころで、多くの大学で心理学科が新設され、心理学を学べる大学が急増していました。心理学研究室の歴史が長く、さらに家の近くで慣れ親しんでいたということもあり、数多くある大学の中から駒澤大学の受験を決めました。当然その頃は、『心理学=カウンセラー』のイメージが強かったので、その時は臨床心理士になりたいと考えていました。しかし、実際に入学してさまざまな授業を履修していく内に、〝心理学を学んだ先はカウンセラーだけではない〟ということがわかり、臨床に進むべきか、決めかねることとなりました。

実験の面白さから基礎研究の道へ
実験の実習科目が個人的に楽しかったことと、自分はカウンセラーには向いていないのではないかと思い始めていたこともあり、大学3年の時に基礎系の研究職に進もうと決意しました。
大学1年と2年の時は、高校時代に吹奏楽部でずっとトロンボーンをやっていたこともあり、音楽系のサークルに所属していました。しかし、大学院進学のため3年からは勉強とアルバイトを中心とした生活に思い切って切り替えました。アルバイトについてはずっと書店でしていました。一度働くと本の知識が結構つくため、三軒茶屋駅に近い書店から駒沢大学駅前の書店へと変えても、職種を変えることはしませんでした。
学部時代は勉強とアルバイト以外に、小野浩一先生の動物実験室でハトの世話のボランティアもしていました。毎日のハトの世話に加え、動物実験室の大掃除を月に一度するのが主な内容です。夏休み中も大掃除があり、掃除だけだと可哀想だからという理由で、小野先生が毎年浅草までどじょうを食べに連れて行ってくれたんです。本場の浅草に学生だけで行く機会もないですし、個人的にかなり印象に残っているイベントでした。また、大学の先生ってちょっと近付きにくい感じがあると思うんですが、小野先生はダジャレをよくおっしゃっていて、この時に大学の先生のイメージも大きく変わりました。私も今現在、実験室のハトの世話を学生にお願いしているので、浅草のどじょうなどのイベントは引き継ぎ、開催するようにしています。
大学院に進む時に、実は駒澤以外の院も考えたんですが、やはり教えを受けた先生方がいらっしゃったこともあり、駒澤大学の大学院に進学することを決めました。動物実験室の存在も今思えば、決め手のひとつであったかもしれません。うちの大学の動物実験室は、実は由緒ある実験室なんです。行動分析学の創始者であるスキナーの弟子のカタニア先生が小野浩一先生の師であり、そのカタニア先生が使用していた実験装置を小野先生が譲り受け、駒澤の動物実験室が誕生しています。
現在専門にしている「行動分析学」は、どのように行動が起きるのか、また行動にどのような機能があるのかを調べる学問です。例えば、目の前にボタンがあってお金が出てくれば、誰もがまたそのボタンを押します。ですが、もしボタンを押して電気ショックが流れればそのボタンを次は押さないようになります。このように行動した後の出来事によって、再び同じ状況におかれたときにボタンを押す行動が起きるかどうかが変わってきます。そういった人の行動の原理・原則を研究しています。

反応をもらうことが、研究活動の一番のモチベーションアップ
実際大学の教員になって感じるのは、シビアな世界だということです。やはり研究成果を出さねばならない世界ですし、自分でどう研究を行っていくか、しっかり計画も組まなければなりません。そのため、気を付けないと他の業務を優先し、研究活動をほとんどしていないなんてことにもなってしまいます。そんな忙しい中でも研究を行い、自分の研究に対して他の先生方から面白い研究だとかコメントを頂けたりすると、やはり研究してよかったと報われた気がしますね。
教える立場になってから約10年、その中で「やりきったな」と思えた授業は5本くらい。もちろん授業は毎回ベストを尽くしていますが、後から考えると改善の余地があったなと考えてしまって終わりがないんです。最近は授業が終わったら学生にアンケートを書いてもらうようにしていますが、その学生なりに授業内容について考えたコメントが書いてあったり、反応が増えると嬉しいですし、もっと良い授業をしていこう、次はこう改善していこうと励みになります。
私は学生時代、正直授業に関してはあまり出来の良い学生とは言えず、院生時代も含めて先生にご迷惑もかけたこともあったと思います。だからこそ、どのような手順で説明していけば、学生がより理解しやすいのかをよく考えるようになりました。心理学は日常に直結した内容となっているので、そのことが学生にわかるように実例をできる限り多く出し、段階を細かく分けながらスムーズな流れで理解できるよう授業を進めています。
心理学にはデータの統計などで、どうしても数学が必要になりますが、苦手意識を持たなくても大丈夫だと伝えたいです。必要に迫られれば何とかなるものなので、心理学に興味のある学生は、まず飛び込んでみてほしいですね。

学科自体、一学年の学生数が少ないのでグループワークで友達もできやすいですし、先生との距離も近いです。ゼミも大体10人前後なので、豊かな人間関係を構築するという点において、穏やかな環境で研究できると思います。

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