学問Q&A

20年後の世界ってどうなっている?

法学部

「AI>人間の脳」それでも残るもの

2045年にはAIが人間の知能を超える「シンギュラリティ」という状態に達することが予測されています。20年後はまさにその直前です。

今の時代はまだAIはさまざまな選択肢を提示してくれて、選ぶのは人間というケースが多いです。今、まさに駒沢大学に入学しようとすることも複数ある選択肢のひとつかもしれませんが、20年後なら皆さんや皆さんのご家族が行っているさまざまなことがらは自動化され、いろいろな選択そのものをAIが決めてくれる時代になっているかもしれません。

そうなると、もはや判断すること自体、人間の脳を働かせる必要もなくなってきそうですが、そうした「AI任せ」が生活のかなりの部分で実現するにしても、そのことに伴うリスク、つまりは選択を「AI任せ」にしてしまった結果、不幸になるという可能性もゼロではないはずです。

例えば自動運転は非常に近い未来に実現するであろう「AI任せ」の例といえます。自動運転に任せた結果、自動車事故が起こった場合に、その責任は自動車メーカーにあるのか、AIを開発したプログラマーや研究者にあるのか、それとも完全に自動運転に任せきっていた“ドライバー”(←運転自体はしていないので括弧付き)にあるのかという問題は、法律の問題として今盛んに議論されています。

新たな技術が興っても、必ず損をする人はいます。そうした損をどのように関係者が負担して損した人を救済するのか、あるいはそもそも救済すべきなのかどうなのかという問題は、紀元前以前からの法学的な問題です。そしておそらくはその問題自体は、AI支配の世の中でもなお人間の脳による判断に残されることでしょう。

法学部: 井上 健一(商法)

おすすめ参考文献

AIの時代と法
小塚荘一郎(著)岩波書店(岩波新書)(刊)

回答で触れた話題に関して取り扱っている。新しいテクノロジーや時代を迎えて、法律学として変わるものがあれば、一方では伝統的な法律学の発想方法が活きる場面もある。広い意味で「考える」ということの意味を悟ってもらいたい。

狼と香辛料
支倉凍砂KADOKAWA(電撃文庫)(刊)

迷ったのだが、2冊目(とは言ってもシリーズ全部で22冊、以後続刊)にはラノベを。別の大学に勤めていたとき、学生から経済の仕組みとか、契約や取引といった概念をつかむのに役に立つと言われて、なるほどと納得した記憶がある。とりあえずは1~3巻あたりがおすすめ。

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