スマホの通信と健康リスクを考えてみましょう!
皆さんはスマホがどのように通信しているかご存知ですか?ケーブルが繋がっていないのにデータのやり取りができるのは少し不思議ですよね。
スマホは電波を用いて通信を行います。電波とは電磁波の一種で、電場と磁場が相互に作用しながら伝播する“波”のことです。この電磁波は周波数(エネルギー)によって特徴が変わります。スマホで使う電波の周波数は約3 GHz(ギガヘルツ)でマイクロ波と呼ばれ、指向性が高く、他の電波と干渉しにくいという特徴があります。マイクロ波は出力の大きくすることで電子レンジにも利用されます。
それでは周波数が変わると電磁波はどのような特徴を示すのでしょうか?スマホに使用する電磁波の周波数(エネルギー)を1億倍するとX線と呼ばれます。X線は電離放射線と呼ばれ、医療ではがん治療や画像診断に有効活用されています。一方でX線は発がんリスクを増加させるため、取り扱いに注意が必要です。
それではスマホに用いる電磁波もX線と同様に発がん作用があるのでしょうか?これはよく分かっていないというのが実情です。というのも、発がんは数十年後に起こることが多いため、長期的な健康リスクの程度と深刻度については調査段階であるためです。WHOはスマホから発せられる電波はある基準値に満たなければ、人体に悪影響を与えるというデータはないと公表しています。それをもとに日本では安全基準を設けており、恐らく安全であると考えられます。とはいえ、本当に安全かどうかわかるのは数十年後になります。
スマホの原理と健康リスクについて紹介しました。凄く便利な道具で私も多用していますが、よく分からない部分もあると考えると少しだけ怖いですよね。利用はほどほどにしておこうという気持ちになりませんか?
医療健康科学部: 中島 祐二朗(医学物理学)