学問Q&A

気分転換に何をしていますか?

文学部

散策や博物館で新たな発見を

研究を効率よく行うためには気分転換が必要です。体を動かすことは脳の活性化につながりますので、休日には屋外へ小さな旅に出かけて文化財を見つけたり、博物館へ足を運んだりしています。

「文化財」と言っても、国宝級の文化財だけではありません。かつて私たちの日常生活に密着していた文化財も多く残されています。私が住む世田谷区では、散歩の途中で路傍にある庚申塔やお地蔵さんを見かけることがあります。これらの石造物は、江戸時代に世田谷区が農村地帯だった名残であり、古くからあった道を歩いていることがわかります。城跡へ行けば、武将やサムライたちに思いを馳せます。

みなさんが「博物館」と聞いて連想するのは、上野の東京国立博物館や国立科学博物館かもしれません。しかし、動物園や水族館も「博物館」の範疇に入り、全国には約5,700の博物館施設があります。歴史系の博物館には文化財などの実物が多く展示されています。スマホで検索すれば簡単に写真を見ることができる時代だからこそ、みなさんには実物でしかわからない迫力を感じ取っていただきたいです。博物館は、知的好奇心を刺激し、展示物には新たな発見があふれているのです。

文学部: 小泉 雅弘(日本近代史、博物館学講座)

おすすめ参考文献

下町の学芸員奮闘記――文化財行政と生涯学習の最前線
小泉雅弘(著)文芸社(刊)

文化財専門員(学芸員)だった私の実践記です。文化財の保護と活用、博物館や展示のあり方、文化財行政と生涯学習のかかわりなどを、現代社会のなかで位置付けています。学芸員志望の人には特におすすめします。(本学図書館の開架でも見ることができます)

ある明治人の記録――会津人柴五郎の遺書
石光真人(編著)中央公論新社(刊)

戊辰戦争で「朝敵」となった会津藩士の五男として生まれ、のちに陸軍大将となる柴五郎。明治維新の敗者がたどった命運と苦難の少年期を描いています。現代人が忘れてしまった明治人の気骨を垣間見てください。

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