学問Q&A

成年年齢18歳と20歳の差には何があると思いますか?

文学部

歴史をふり返るともっと早くに成年?

成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことによる違いの1つとして、2年早く選挙権を得られるようになったことがあげられますが、18歳から親の同意がなくても自分の意志で行動できる(しなければならない)、このことが最も大きな違いだと思います。以前よりも2年早く、責任ある行動が求められることになったわけですから、大変です。

私の専門分野である日本中世史の世界では、おおむね男女とも数え年13~15歳で大人と認められていました。男性の元服式は広く知られています。大人と認められた途端、当主となっている人物もいます。現在の中学生と同じ年齢で、一族郎党のトップの役割を果たさなければならないのですから、本当に大変だったと思います。

ただし、補佐する年長者(一族や家臣)に恵まれていた場合は、困難な状況を乗り越えて、一族郎党の生活と安全を守りぬき、繁栄できた事例も多くあります。また、女性でも、夫や息子の代わりに当主(家長)として活躍した寿桂尼や古河氏姫などがいます。

18歳から大人としての責任を持って将来を考えるとき、歴史上の人物についての学びが参考になることも多いものです。過去の人びとの生き方を知ること、残された史料から真実を追究することを通して、あなたの将来についても考えてみませんか。

文学部: 浅倉 直美

おすすめ参考文献

北条氏康の子供たち
黒田基樹・浅倉直美(編)宮帯出版(刊)

戦国大名小田原北条氏三代氏康の7人の息子と5人の娘について、それぞれの生涯と、北条氏の歴史のなかで果たした役割について取り上げています。戦国大名の当主だけが頑張っても、領国の繁栄を築くことはできません。兄弟・一族が結束してこそ、戦国大名領国の安定と繁栄がもたらされたことが分かる1冊です。

新書版 性差(ジェンダー)の日本史
国立歴史民俗博物館(監修)「性差の日本史」展示プロジェクト(編)

2020年に国立歴史民俗博物館で開催され、大きな話題を呼んだ企画展「性差(ジェンダー)の日本史」の成果がまとめられたものです。無意識のうちに私たちを強く捉えているジェンダーについて、豊富な資料を通して問いかけています。ジェンダーの視点から歴史を見直す研究を、知ってほしいと思います。

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