外国文化を日本独自のものに変える力
西欧の政治文化である「民主主義」―ここでいう民主主義とは単なる多数決を意味するのではなく、議会制民主主義の諸制度と、それを支えるさまざまな基本的人権の尊重を含む―は戦後日本においてアメリカによって強制的に植え付けられました。しかしこのシステムは長期の自民党政権によって、「地元民主主義」という日本独自の民主主義に変形してしまったのです。
この「地元民主主義」とは、「地元」代表である国会議員と、彼(彼女)の後援会、会を取り巻く地元企業などを中心にして、選挙での自民党候補者への票と地元への恩恵(公共事業や補助金など)をバーター(交換)する一大利益共同体です。この利益共同体としての「地元民主主義」が日本の議会制民主主義の礎を形成してきたと言えるでしょう。
議会と選挙は、自分たちの地元と自分の生活を豊かにするツールとして位置づけられ、人々の生活に「根付いて」きました。決して崇高な理念と高い政治意識からではなく、生活の糧として日本の「民主主義」は定着してきたと言えるでしょう。
このように、西欧の民主主義さえ自分たちの暮らしへ取り込み、変える力こそ、我々の優れた文化です。民主主義同様に外国から渡来し、日本独自のものに変わった例を考えてみると、さまざまな日本の魅力を発見できることでしょう。
法学部: 早川 純貴(政治過程論)