学問Q&A

情報が多い世の中、何を信じて良いか分かりません。

文学部

立ち止まれるあなたは、一歩進んでいます

社会心理学や行動経済学の研究によると、人が何かを選択するときたくさんの選択肢がある方がいろいろ選べてよいと思いきや、選択肢が多すぎると選べないことがわかっています。ある研究では、店頭の試食用のジャムが6種類か24種類かで購入実績を比較したところ、前者の方が後者よりもたくさんジャムが売れることが示されました。このように、選択肢が多すぎると人は決められず、思考を停止してしまいます。

では、たくさんの情報や選択肢の中から正しい情報を選択し、行動するためにはどうすればよいのでしょうか。この問題をよりよく対処するうえで、実はあなたは一歩進んでいます。というのも「何を信じて良いかわからない」と思っているからです。

そこで立ち止まって、しっかり考えようとする態度は重要です。見知らぬ情報に接した際、人は無意識に自分の世界が安定するように情報を歪めて解釈します。もちろん、情報の正しさを見極める絶対的な基準は存在しません。物事をデータに基づき、さまざまな角度から検討し判断する科学的な考え方を身につけるのが、有効な方法のひとつで、それが大学で学ぶことのメリットです。ぜひ駒大で、物事を判断する知的な基準を身につけてください。

文学部: 長谷川 孝治

おすすめ参考文献

影響力の武器[第三版]――なぜ,人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ(著)、社会行動研究会(訳)、誠信書房(刊)

他者をはじめとするさまざま情報源から人がどのような影響を受けるかという社会心理学の研究成果をわかりやすく解説した本。

ファスト&スロー――あなたの意思はどのように決まるか[上][下]
ダニエル・カーネマン(著)、村井章子(訳)、早川書房(刊)

さまざまな情報を基に人が意思決定する際、非合理でバイアスのかかった判断をしがちであることを、社会心理学や行動経済学の研究成果に基づいて示した良書。

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