学問Q&A

人工知能が人間を支配しないか心配です。

経営学部

人の最大の強み“共感力”を磨こう

「迅速な事務処理、鋭い切り口の分析、クリエイティビティあふれる発想! こんな逸材どこで!?」
「AI!」
――こんな光景は、もうそこまで迫っています。人工知能(AI)が小説も書く時代です。実際、2016年にはAIが執筆した小説『コンピュータが小説を書く日』が、短編文学賞「星新一賞」の一次審査を通過するといったこともありました。うかうかしていると、次々と仕事を奪われてしまうかもしれませんね。

しかし、私たち人間にも希望はまだあります。今後AIがますます発達しても、人間が強みを発揮できる能力がひとつだけ残るのです。なんだと思いますか? 答えは「共感能力」です。

優れたサービス提供者は、表情や仕草、何気ない会話から顧客の気持ちを読み取り、ニーズに柔軟に対応します。その時の気分にあった心地よい距離感で接してくれる美容師さんや、服選びを楽しくしてくれるショップの店員さんなど、接客の巧みな人があなたの身の回りにもいませんか? こうした芸当は、磨き上げられた共感能力の賜物なのです。

共感能力が重要ということは、長期的に見れば、私たちが意識すべき競争相手も変わってくるはずです。最も手強いライバルは、AIではなく実は人間なのだと思います。共感能力を磨く第一歩として、まずはたくさんの小説を読んだり、映画を観たりして、登場人物に感情移入してみるのはいかがでしょうか。

経営学部: 武谷 慧悟(サービス経営論)

おすすめ参考文献

モラルの起源――実験社会科学からの問い
亀田達也(著)岩波書店(刊)

消費を含む人間のさまざまな行動について「進化の過程における適応」という観点から解説しています。映画「君の名は。」が記録的なヒットとなったことにも、何か人間らしい理由があるのかもしれません。

いまさら聞けないマーケティングの基本のはなし
松井剛(著)河出書房新社(刊)

「ラーメン女子」や「ドヤリング」など、身近な話題を通じてマーケティングの概念や理論に親しむことができます。読み進めるうちに、あなたもマーケティングの虜になるに違いありません。

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