学問Q&A

人工知能が人間を支配しないか心配です。

グローバル・メディア・スタディーズ学部

偽りの知能は、人を越えられません

人工知能が人間を支配することはありえません。そもそも人工知能(AI)とはArtificial Intelligenceのことで、人が作った(Artificial)いわば偽りの知能(Intelligence)なのです。

私は小学生のころからプログラミングを始め、現在はデータベースシステムを中心とした研究を進め、最近では人工知能をビジネスとする会社の研究顧問も務めているので、人工知能について少しは語る資格があると思います。

もちろん支配という言葉の定義によりますが、現在の人工知能は碁で人間に勝つとか、クイズ番組で人間に勝つとか、作曲するとか、そうしたごく一部の限られた範囲で人間と拮抗している(あるいは人間より勝っている)に過ぎません。将来、その範囲や程度が進むことは予想されますし、ある程度の総合判断ができる人工知能ができることは十分に予想できます。しかし、それらは研究者や技術者が経験と知恵を結集してようやくできるもので、人間を支配するような技術とはたいへん大きな隔たりがあります。

以上のことから、人工知能がいわゆる支配してしまうような世の中はまずありえないと思います。

グローバル・メディア・スタディーズ学部: 吉田 尚史(データベースシステム)

おすすめ参考文献

『シンギュラリティは怖くないちょっと落ちついて人工知能について考えよう』
中西 崇文(著)草思社(刊)

人工知能が人類の知能を越える転換点「シンギュラリティ」についてやさしく解説。著者は私の後輩で、いわゆる“人間を困らせる人工知能”が存在できない理由なども紹介されています。

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