学問Q&A

「平成」は、先生の学問にとってどんな時代でしたか?

経営学部

会社に対する見方が大きく転換した

平成の企業経営を特徴づけるものは、インターネット技術を応用したビジネスの成長です。グーグルやアマゾンなどが平成を代表する会社と言えるでしょう。これらの会社は、消費者が想像していなかった画期的な製品・サービスで成功を収めました。

昭和の時代は大量生産・大量消費を前提に、「効率的な生産」という解を追求することで足りました。平成では、インターネットの登場といった変化に迅速・的確に対応し、魅力的な新製品・サービスを創造できる会社のみが成長できる時代となったのです。

こうしたビジネスの変化は、経営学における会社に対する見方を大きく転換させました。従来は、会社が保有している経営上の資源を前提に、それを効率的に利用する存在として会社を捉えていました。

しかし、平成の時代に入り、会社は「能力」や「資源」を変化させるダイナミックな存在と捉えられるようになりました。そこでは、能力を高めるための効果的な組織の「学習」が重要なテーマとなり研究が進みました。また、会社は従業員によって成り立っているので、従業員の能力をいかに向上させるかという課題に関する研究も大きく前進しました。

経営学部: 小本 恵照(現代企業論)

おすすめ参考文献

事実に基づいた経営――なぜ「当たり前」ができないのか?
ジェフリー・フェファー / ロバート・I・サットン(著)清水勝彦(訳)東洋経済新報社(刊)

経験や通説に頼った経営ではなく、事実 (evidence)に基づいた経営の重要性を説明しています。代表的な通説を複数取り上げて内容の解説しており、興味深く読める内容です。

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
テレサ・アマビール / スティーブン・クレイマー(著)中竹竜二(監訳)樋口武志(訳)英治出版(刊)

創造性や生産性を高めるには、社員が重要と考える仕事の進捗をマネジャーが支援することだと説きます。12,000という大量の日誌データ分析がもとになっており説得力があります。

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