地球を救う農業政策を求める時代に
かつての農業政策論では、大半が土地と労働力に依存する農業を営んでいたため、土地無き農民の貧困を解決することが主な問題でした。
平成に入り農業はさらに大きく変貌し、今では高性能な農機具、化学肥料や農薬、バイテク技術を駆使した先進国型産業となっています。そのため肥料や農薬、設備といった農業資材・機材の存在は欠かせず、農業に対してより大きな力を持つ資材・機材産業への依存が強まっています。農産物の販売面でも、食品工業や外食産業、大手流通業者が登場しています。近年は、バイオ燃料(ガソリンや軽油の代替になる生物由来の燃料など)という新しい用途も生まれ、資源エネルギー問題の影響も受けるようになりました。農産物貿易の増大はもとより、資材・機材産業や食品産業のグローバル展開も進んでいます。
農業の発展は、食料生産の増大に貢献しましたが、他方では、地球的規模での食品安全・安心、環境破壊、途上国農民の貧困といった新しい問題を激化させています。こうした矛盾にどう立ち向かうのか。そのためには、望ましい技術の開発も重要ですが、問題発生の防止と解決に向けた社会的な制度づくりや運営改善も求められます。現代農業の特徴を明らかにする中で、そうした政治経済的な政策を追求すること、これが現在の農業政策論の大きな課題です。一緒に考えてください。
経済学部: 農業政策分野教員