学問Q&A

「平成」は、先生の学問にとってどんな時代でしたか?

グローバル・メディア・スタディーズ学部

時代の終わりは、新たな思案の始まり

平成元年(1989年)から平成31年(2019年)まで、いろいろな出来事がありました。この機会に、心に残った平成の出来事を振り返ってみましょう。

昭和が終わり、平成が始まった頃、日本は「失われた10年」と呼ばれました。後に「失われた20年」と呼ばれるようになり、今では「失われた世代」と表現する人もいます。これは平成を象徴する呼び名として残念なことです。

確かに、平成20年(2008年) に起きたリーマン・ショックを引き金として、数々の企業が消え去り、景気低迷が続きました。平成23年(2011年)の東日本大震災など数々の大きな災害に見舞われ、海外では平成13年(2001年)にアメリカで起きた同時多発テロ事件(9/11)をはじめ、さまざまな大惨事もありました。

しかし、このようななか でも比較的平穏かつ安定した平和な生活を送れたのが、日本の平成という時代でした。そういう時代だったことを、私たちは心から感謝すべきでしょう。

平成が始まった年は、ベルリンの壁が崩壊し、世界中の人々を驚かせ、World Wide Webが誕生し、その後のインターネット社会の礎を築いたことからも、大きな転換点だったと言えるでしょう。

世界で東西の国々がにらみ合った冷戦の時代が終わり、敵対的な外交関係と古いイデオロギーの歴史に終止符が打たれたかのように思われました。しかし、その後台頭してきたのは、異文化間・異宗教間の衝突、国粋主義、ポピュリズムといった、それまで長く眠っていた暗い勢力でした。

また、インターネットが社会にもたらしたメリットは計り知れませんが、同時に、無記名での誹謗中傷や、二極化ともいえる思想の過激化といった新たな負の側面も生み出しました。

現在もインターネットは、利用者の興味や関心に合わせ広告などが表示されるなど、日々テクノロジーの精度を上げています。行きすぎれば私たちを監視しているとも言えるこのような傾向について、皆さんはどう考えますか。私はこれからも平穏で安定した平和な時代となることを願わずにはいられません。そのためにも、一緒に次の時代を考えてみませんか。

グローバル・メディア・スタディーズ学部: リンスキー.マイケル(Innovation and Entrepreneurship)

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