学問Q&A

結婚ってなんでしょうか?

仏教学部

輪廻を引き起こすものである

みなさんは日本のお坊さんが結婚していることを知っているでしょう。しかし仏教が始まったインドのお坊さんは結婚できませんでした。

仏教の開祖であるお釈迦さまは生まれてすぐにお母さんが亡くなり、お母さんの妹がお母さんの代わりとして愛情をもってお釈迦さまを育てました。しかし、何かものたりないものがあったのでしょう。お釈迦さまの結婚観にはこの幼少期の体験が決定的に影響しているようです。

お釈迦さまは若い頃、お見合いでヤショーダラーという女性と結婚して、子どもをさずかります。しかし、子どもに「妨げ(ラーフラ)」という名前をつけ、さらには妻と子どもを置いて修行の道に入ってしまいます。お釈迦さまは悟りを開かれた後、実家に戻ったときにヤショーダラーの同意なく息子・ラーフラを出家させ、その家は途絶えることになります。

お釈迦さまの結婚生活はまさに“サイテー”と言われるようなものですが、幼少期の愛の不足からおきる根深い連鎖に気づかれていたのではないでしょうか。ただ一般の仏教信者には結婚を禁止せず、日本のお坊さんの多くは結婚しています。それはなぜか、仏教学部で一緒に考えてみましょう。

仏教学部: 藤井 淳(日本仏教)

おすすめ参考文献

ブッダ物語
中村元・田辺和子(著)岩波書店(刊)

お釈迦さまは別名ブッダと呼ばれています。その生涯をやさしい文章で過不足なく取りあげており、仏教に関心を持つ全ての人への入門書としてお薦めできます。

寺社勢力――もう一つの中世社会
黒田俊雄(著)岩波書店(刊)

日本の歴史の前半は仏教に関連する事柄で占められています。専門的ですが、仏教寺院が分岐点としての中世において果たした特殊な役割を描いています。

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