やっぱり「人生の墓場」なのかな?
高校生のみなさんの多くは、自分が結婚するのはずっと先と考えているでしょうが、おそらく最も身近な、ご両親の結婚をみれば、ときどき起こる夫婦喧嘩、子ども(みなさん)の世話に追われるなど、必ずしもバラ色ではないとも思うでしょう。「結婚は人生の墓場」、「夫婦生活は悪魔」という言葉まであるそうです。
とはいえ、多くの法律学者は、結婚することは権利、人権であると考えています。愛する人と一緒に生活を営み、子どもを持ち(又は持たずに)一生を添い遂げる権利です。LGBT(性的マイノリティ)と呼ばれる人たちが、彼らにはまだないこの権利を求めて声を上げていることも、よく耳にします。
私自身は、結婚にはこの両面があると思っています。愛する人と楽しく生活する権利であり、我慢して他人と暮らす義務でもあるのです。キリスト教に由来するという近代法の結婚観が、まさにこれです。つまり、家を買えば面倒な近所づきあいをし、庭を持てば小まめに草木の手入れをするように、家庭を持てば夫(又は妻)と仲良く暮らさなければならない。反対に、結婚したいと願う同性愛者たちは、疲れた中年世代に、結婚も本当はよいものですよと、教えてくれているのかもしれません。
法学部: 三宅 雄彦(憲法)