学問Q&A

結婚ってなんでしょうか?

法学部

やっぱり「人生の墓場」なのかな?

高校生のみなさんの多くは、自分が結婚するのはずっと先と考えているでしょうが、おそらく最も身近な、ご両親の結婚をみれば、ときどき起こる夫婦喧嘩、子ども(みなさん)の世話に追われるなど、必ずしもバラ色ではないとも思うでしょう。「結婚は人生の墓場」、「夫婦生活は悪魔」という言葉まであるそうです。

とはいえ、多くの法律学者は、結婚することは権利、人権であると考えています。愛する人と一緒に生活を営み、子どもを持ち(又は持たずに)一生を添い遂げる権利です。LGBT(性的マイノリティ)と呼ばれる人たちが、彼らにはまだないこの権利を求めて声を上げていることも、よく耳にします。

私自身は、結婚にはこの両面があると思っています。愛する人と楽しく生活する権利であり、我慢して他人と暮らす義務でもあるのです。キリスト教に由来するという近代法の結婚観が、まさにこれです。つまり、家を買えば面倒な近所づきあいをし、庭を持てば小まめに草木の手入れをするように、家庭を持てば夫(又は妻)と仲良く暮らさなければならない。反対に、結婚したいと願う同性愛者たちは、疲れた中年世代に、結婚も本当はよいものですよと、教えてくれているのかもしれません。

法学部: 三宅 雄彦(憲法)

おすすめ参考文献

議論入門――負けないための5つの技術
香西秀信(著)筑摩書房(刊)

法学の面白さを入学前のみなさんに教えてくれる本を、残念ながら私は知りません。恵まれない人たちの権利を守る、社会で生き抜くための知識を得る、法学にはこうした効能もありますが、それを伝える書物の堅苦しさに、かえってみなさんが身がまえることを恐れます。私が法学の魅力と思う、学問としてのその性格は、実際に大学で知ってもらうしかありません。ただし、他人と議論することに法学の本質がある、とする見解に従うなら、その一端にこの本で触れることができるでしょう。

判例の読み方――シッシー&ワッシーと学ぶ
青木人志(著)有斐閣(刊)

法学部では法律のみならず、その法律を読み解く裁判所の判決も勉強することになります。過去に裁判所が下した重要判決を判例と呼びますが、その判例をどう勉強するかを教えてくれるのがこの本です。シッシーとワッシーとは、老舗出版社のシンボルマーク。この軽めの2匹のキャラクターは、昔から威張り散らしてきた法律、法律家、そして法学教授をその権威から引きずり降ろしてくれるようで、ほほえましいです。

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