学問Q&A

「好きなことで生きていく」にはどうすればよいですか?

経済学部

必要なのは、リスクを受け入れる覚悟

まず強くお伝えしたいのは、「好きなことで生きていく」≠「ラクして稼ぐ」という点です。そもそも、安穏と毎日遊んで大金を稼げるような、そんなうまい話はありません。経済学では、“There is no free lunch.”(タダの昼食はない)ということわざがよく引用されます。それは、「トレードオフ」つまり「好きな何かを得るには、別の何かを諦めなければならない」という概念を説明するためです。好きなことで生きていく道を選んだとき、ともかく生計を立てることを優先した場合と比べて、諦めなければならない何かがあるはずです。それは何でしょうか?

その答えは「リスクに直面せざるを得ないこと」だと私は思います。好きなことを生業にすると決めた場合、それに対する需要が世の中にあるとは限りませんし、定職に就ける保証はありません。例えばユーチューバーの人達の活躍はたしかに華やかに見えます。しかし忘れてならないのは、その人達の努力だけでなく、幸運もまた成功の一要因であっただろうという点です。卒業後の進路を決めるときなど、これからの人生の節目において、決して感情に流されることなく、自分にとって「合理的」な意思決定をしてください。

経済学部: 西村 健(オークション理論)

おすすめ参考文献

ファスト&スロー(上・下) あなたの意思はどのように決まるか?
ダニエル・カーネマン(著)村井章子(翻訳)早川書房(刊)

2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンによる一般向け図書です。人間が判断を誤る際のパターンや理由について、心理学者でもあるカーネマン教授が詳しく解説しています。

実験経済学
川越敏司(著)東京大学出版会(刊)

最近の経済学では、化学や生物学と同じように、実験研究がよく行われています。数式がたくさん出てきて少し難しいかもしれませんが、いつかチャレンジしてもらいたい一冊です。

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