学問Q&A

どうして恋煩いするのでしょうか?

経済学部

思うように手に入らないから

欧米の研究者が恋愛中の人と失恋した人を集めてMRIスキャナーで脳を検査する実験を行ったところ、恋愛中の脳はコカインでハイになっているのと似たような状態であることが確認されたそうです。つまり、恋は本当に麻薬と同じ効果をもつのです。さらに、失恋した人の脳は、激しい恋愛をしている場合と同じ部分が活発化していたことも示されました。つまり、手に入らないほどよりいっそう愛してしまうということです。ということで、恋が悩ましいのは、ズバリ望んでも手に入らないからだと思います。コンビニで売っているコーラやおにぎりなどは、お金さえ払えばどこでも望み通りに手に入れることができます。しかし、恋愛というのは普通の商品とは異なり、相手側も選ぶ権利がありますので、いくら自分が手に入れたいと思っても、相手も自分を選んでくれなければいけません。これを経済学では「マッチング」と呼びます。うまくマッチングがなされないがゆえに、恋煩いをしてしまうわけですね。経済学ではマッチングがなされない状況は望ましくないものとして、うまくマッチングさせるためのメカニズムや政策を考えるのですが、でもそれこそが恋の魅力なのかもしれません。

経済学部: 江口 允崇(財政学/マクロ経済学)

おすすめ参考文献

「原因と結果」の経済学: データから真実を見抜く思考法
中室 牧子/津川 友介(著)ダイヤモンド社(刊)

新聞やテレビなどのメディアは嘘のデータであふれています。じつはデータというのは、見せ方次第でいくらでも嘘をつくことができます。まずこの本でデータを読むリテラシーを身につけてほしいと思います。

ミクロ経済学の力
神取 道宏(著)日本評論社(刊)

経済学の授業を聞いて多くの人が感じることは、こんな現実離れした理論ばかり考えて何の役に立つのだろうということです。この本は、そうした疑問に丁寧に答えていく形で解説がされています。

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