学問Q&A

どうして恋煩いするのでしょうか?

グローバル・メディア・スタディーズ学部

ソーシャルメディアはほどほどに

恋煩いとは何か? という問題は中々難しいものですが、「恋の形が変化してきた」ということは自明だと思っています。
20世紀の恋愛は基本的に思い込みと勘違い。時間的に限られた対面のコミュニケーションで相手を理解して、あとはすべて想像で埋め合わせて恋に落ちたものです。
ところが21世紀に入り、多くの人は、「いいな」と思った相手がいると、即座にFacebook、Twitter、Instagramで調査をかけるようになりました。どんなところに住んでいて、どんな友達がいて、どんな犬を飼っていて、昨夜何を食べたか? などということまでわかってしまうようになりました。ですから、恋する人に想像が入り込む余地はなく、リアルな生活がソーシャルメディアで共有され、幻滅したり、自信喪失したり、逆により恋に落ちたりしているのではないか? と思います。
一方で、「盛る」という言葉に代表されるように、共有された情報は演出されているケースが多くあります。ですから、幻滅したり、より恋に落ちたりする前に、ソーシャルメディアの情報が正しいのか、客観的に評価する必要があります。メディアを見て、客観的に評価する視点こそ、現代の恋煩いなのかもしれません。
個人的には、ソーシャルメディアはほどほどに。自分の五感、想像力や直感を働かせて恋愛を楽しんで欲しいな、と思います。

グローバル・メディア・スタディーズ学部: 情報科学分野教員

おすすめ参考文献

一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF―
シェリー・タークル(著)日暮 雅通(翻訳)青土社(刊)

近年、スマートホンの急激な発展は我々の暮らしや文化を劇的に変化させました。本書は、現実の空間から仮想空間へ変化したコミュニケーションに焦点をあて、人間の関係の変化を論じています。

クラウド時代の思考術
ウィリアム・パウンドストーン(著)森 夏樹(翻訳)青土社(刊)

現代の個人は知識を「ググって」閲覧します。では、人間の脳に知識を蓄える必要はなくなったのでしょうか? 本書はクラウド時代に人間が学ぶ意義について論じています。

top