ソーシャルメディアはほどほどに
恋煩いとは何か? という問題は中々難しいものですが、「恋の形が変化してきた」ということは自明だと思っています。
20世紀の恋愛は基本的に思い込みと勘違い。時間的に限られた対面のコミュニケーションで相手を理解して、あとはすべて想像で埋め合わせて恋に落ちたものです。
ところが21世紀に入り、多くの人は、「いいな」と思った相手がいると、即座にFacebook、Twitter、Instagramで調査をかけるようになりました。どんなところに住んでいて、どんな友達がいて、どんな犬を飼っていて、昨夜何を食べたか? などということまでわかってしまうようになりました。ですから、恋する人に想像が入り込む余地はなく、リアルな生活がソーシャルメディアで共有され、幻滅したり、自信喪失したり、逆により恋に落ちたりしているのではないか? と思います。
一方で、「盛る」という言葉に代表されるように、共有された情報は演出されているケースが多くあります。ですから、幻滅したり、より恋に落ちたりする前に、ソーシャルメディアの情報が正しいのか、客観的に評価する必要があります。メディアを見て、客観的に評価する視点こそ、現代の恋煩いなのかもしれません。
個人的には、ソーシャルメディアはほどほどに。自分の五感、想像力や直感を働かせて恋愛を楽しんで欲しいな、と思います。
グローバル・メディア・スタディーズ学部: 情報科学分野教員