経営学部
簿記の起源を求め、古代、中世のイタリアへ
もしタイムマシーンがあって、どの時代・どの場所に行きたいかと問われるなら、13・14世紀(中世)のイタリアか、もっと前の古代ローマ時代に行ってみたいと思います。なぜなら、中世イタリアは、複式簿記の起源ともいわれており、実際の商人の最古の会計帳簿が実在しているからです。
複式簿記とは、企業が仕訳を用いて日々の取引を記録し、最終的には決算書を作成するためのものです。たとえば、いつ・だれに・なに(お金など)を支払ったのかということを記録するためのもので、現代でも株式会社など中世イタリア時代までしか発見されていませんが、貨幣制度や人間の経済活動は古代やもっと以前からあり、何らかの形で忘れないように記録されていたのではないかと考えられます。そういう点では古代ローマ時代にもどのような記録があったのか興味があります。
ドイツの詩人であったゲーテも、複式簿記は人類の発明のなかで最も優れたもののひとつだといっています。また、『アンネの日記』で有名アンネ・フランクも日記のなかで、父の仕事の手伝いをするために簿記(経理)の勉強をしなくてはと書かれています。簿記・会計の歴史はかなり古くからあり、人類の経済活動とともに発展し継承されてきたものといえるのです。
経営学部: 桑原正行(財務会計論)