学問Q&A

もし駒大に入学するとしたら、何学部でどんな勉強をしたいですか?

仏教学部

心理学科で心意識を探究する

禅宗には、「己事究明(こじきゅうめい)」という表現があります。私見ではこの言葉は修行者が安易に外境の変化に振り回されることなく、自らの心の把捉に徹すべきことを述べたものであろうと理解しています。

我々が目にする森羅万象の世界には永遠に変わらぬ実体がないので、一つひとつの現象に惑わされていては、結局、真理にたどり着くことはできません。そのため、禅者らが坐禅をはじめとするあらゆる日常的行為において自らの心意識の動き(心とそこから発生する心理活動)を正確に把握しつつ、徹底した自己省察に努めてきました。ただ、禅者のさとりはそれぞれの実体験に基づくものであることから、それに対する客観的科学的検証がとても困難であると言わざるをえません。

一方、心理学は現代的科学的手法を用いて心と行動を探究する学問です。もし心理学の研究手法を駆使し、心意識活動の一端を客観的に解明できるのならば、禅修行における自己省察の裏付けにもなりうるでしょうし、言い方を変えれば、禅修行の有効性も科学的見地において立証されることでしょう。この両者のコラボレーションにより見事成しえるであろう夢を、駒澤大学で一緒に追いかけてみませんか。

仏教学部: 程 正(中国禅宗史)

おすすめ参考文献

禅語散策
田上太秀(著)講談社(刊)

禅者らが厳しい修行を通して得たさとりの風光を言葉で表現したものが禅語である。本書は日常語になった禅語を皮切りに、その由来や本来の意味などを平易な言葉で説明した一冊。

仏陀の観たもの
鎌田茂雄(著)講談社(刊)

仏教の原点ともいうべき仏陀のさとりの中身に焦点を合わせ、こうした仏教の基本的考え方が現代社会を生きる私たちにも適していることを教示した一冊。

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