外国史学専攻で地中海世界の歴史を!
受験科目を決める時に何となく「世界史」を選びました。今思えばこの「何となく」が後の人生を変えましたね。
当時私は「古代ローマ」が周辺世界に勢力を拡大していく過程に関心を持ちました。例えば第二次ポエニ戦争です。ローマ軍司令官・大スキピオと、カルタゴのハンニバル将軍との攻防は特に印象的でした。初めは二人の英雄物語として捉えていました。しかし同戦争で敗北したカルタゴは、三度目の戦争においてローマ軍により徹底的に破壊され滅亡します(紀元前146年)。住人・戦士の殆どは死に絶え、辛うじて生き残った人々もローマの捕虜となったのです。
多くの場合、戦争に勝利すればその統率者は「英雄」として歴史に名を刻みます。一方で彼らの下で戦った人々やその家族らは参考書に載ることはありません。載ったとしてもそれは犠牲者の「数」の一つに過ぎないのです。
私は大学卒業後、チュニジアに留学しました。今や首都チュニス市内の高級住宅街となったカルタゴでしたが、そこにはローマに焼き払われたビュルサの丘があり、カルタゴ人住居の支柱がローマ人の住居跡の下に埋もれていました。あの時の風景は忘れません。ぜひ地中海世界で生きた人々の歴史を学びたいですね。
経済学部: 山中 達也(中東・北アフリカ諸国経済)