学問Q&A

どうすれば本番で緊張しないようになれますか?

法学部

「緊張=いけない」という当たり前を疑おう

残念ながら政治学はこの問いには答えてくれません。だからといって政治学は役に立たないものではありません。政治学や社会学を勉強していると、「どうして「緊張してはいけない」と考えるのだろう?」と、逆に疑問を持つようになるのです。

「どうすれば本番で緊張しないようになれますか?」という問いは、「緊張してはいけない」ことを前提にしています。緊張すると実力が出なかったり、失敗したりするので、「緊張してはいけない」のは当たり前だろうという反論が聞こえてきそうです。でも、本当にそうでしょうか。

政治学や社会学は、社会について学ぶ学問ですが、社会にはいろいろな「当たり前」があります。多くの人が当然のこととして考えたり、行動したりしていることがらです。この「当たり前」を疑う目を養ってくれるのが政治学や社会学です。社会の制度は大多数の人(マジョリティ)にとっての「当たり前」を前提に作られています。でも、少数の人(マイノリティ)にとっては、それが苦痛になっているかもしれません。日本にとっての「当たり前」は国際社会にとっては「当たり前」でないかもしれないし、時代によっても変わってくるかもしれません。

政治学や社会学を学んで、「当たり前」を疑う目を身につけてみませんか。

法学部: 中野 裕二(政治社会学)

おすすめ参考文献

ルポ 差別と貧困の外国人労働者
安田 浩一(著)光文社(刊)

「当たり前」を疑う目を養うために、マイノリティまたは社会的に弱い立場におかれている人々のことを知ることから始めましょう。今話題になっている外国人労働者についての本です。

反貧困――「すべり台社会」からの脱出
湯浅 誠(著)岩波書店(刊)

日本のなかで社会的に弱い立場に置かれている人々について書かれた本です。10年以上前のものですが、重要性は失われていません。高校生にもぜひ読んでもらいたい一冊です。

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