「緊張=いけない」という当たり前を疑おう
残念ながら政治学はこの問いには答えてくれません。だからといって政治学は役に立たないものではありません。政治学や社会学を勉強していると、「どうして「緊張してはいけない」と考えるのだろう?」と、逆に疑問を持つようになるのです。
「どうすれば本番で緊張しないようになれますか?」という問いは、「緊張してはいけない」ことを前提にしています。緊張すると実力が出なかったり、失敗したりするので、「緊張してはいけない」のは当たり前だろうという反論が聞こえてきそうです。でも、本当にそうでしょうか。
政治学や社会学は、社会について学ぶ学問ですが、社会にはいろいろな「当たり前」があります。多くの人が当然のこととして考えたり、行動したりしていることがらです。この「当たり前」を疑う目を養ってくれるのが政治学や社会学です。社会の制度は大多数の人(マジョリティ)にとっての「当たり前」を前提に作られています。でも、少数の人(マイノリティ)にとっては、それが苦痛になっているかもしれません。日本にとっての「当たり前」は国際社会にとっては「当たり前」でないかもしれないし、時代によっても変わってくるかもしれません。
政治学や社会学を学んで、「当たり前」を疑う目を身につけてみませんか。
法学部: 中野 裕二(政治社会学)