“ホンモノ”を見に行こう
私は“ホンモノ”を見に行くことをおすすめします。いまや電脳世界にさまざまな情報があふれていますが、世の中には実際に経験しなければわからないことの方がむしろ多いのではないでしょうか。考古学を例にとれば、たったひとつの土器片でもそれを手に取って観察することで、大きさ・色・重さ・においなど教科書ではわからない情報がぎっしり詰まっていることに気づくでしょう。万里の長城を実際に歩けば、中国大陸という広大な大地を背景に、ときに争いときに共存した人々の営みのスケールの大きさを実感するはずです。
欧州や南米にサッカーの最先端を経験しに行くのも、アメリカで本場のジャズに触れるのも良いでしょう。何であれ、自分の目で見て自分の頭で考えることで、想像以上に多くのものが得られるものです。
ホンモノにはホンモノにしかない深みと重み、そして迫力があります。10代のうちからホンモノに触れる、あるいは触れるための準備をしておくことは、人生を豊かにするための最善の手段だと思います。見てみたい、やってみたいことがあれば、好奇心の赴くままに現場に出てみませんか。その経験は、きっと一生の財産になるはずです。
文学部: 角道 亮介(歴史学科考古学専攻、外国考古学)