仏教学部
仏教の知識を生かし、自分で調べて考えるため
アジアの文化の根底となったのは仏教でした。インドや中国の周辺の国々は、文化やさまざまな技術を主に仏教経由で導入したため、仏教を知らないとそうした国の歴史や文化は分かりません。日本の場合は、特にそのような傾向が強かったと言われています。
実際、「鉢」を「はち」と呼び、「鼓」を「つづみ」と呼ぶのは、インドの言葉の発音が変化したものですし、古くからあると思われがちな「心から」や「思い知る」などといった表現も、実は仏教由来の場合が多いのです。また、「意識」「宗教」「理性」などといった思想関係の言葉の多くは、仏教の言葉を明治時代に欧米の術語の訳語として新たに用いたものであることが知られています。日本語で話し、日本語で考える場合、私たちは知らないうちに仏教に頼っているのであり、仏教の影響を受けてしまうのです。
そうした自分を見つめ、自分は何をしたいのか、自分にできることは何なのかを考え、複雑で問題の多い社会に向かっていく際に必要なのは、仏教の素養を生かしつつ自分で調べ、疑い、考えていく姿勢でしょう。道元禅師が言われたように、「仏教を学ぶというのは、おのれを学ぶこと」なのです。
仏教学部: 東アジアの仏教と文化分野教員