チョンマゲとズボンと“歴史の力”
教室のドアがガラッと開きました。先生がもし、チョンマゲに和服姿で立っていたら…?びっくりしたあと、大騒ぎになるのではないでしょうか。それがもし江戸時代の寺子屋ならどうでしょう。なんの不思議もないですよね。この2、3百年の間、日本に何が起こったのでしょう。江戸末期から、強いヨーロッパをまねて近代化を目指します。男性はチョンマゲを落とし、洋服(西洋の服)を着始めたのです。では、洋服の特徴とは何でしょう。古代中国の思想家やギリシアの哲人がまとう足もとまである服とはまったく違いますよね。腰から少し下までの短い上着、筒状の袖、ふた股に分かれたズボン。
こうした服の起源は、じつは遊牧民にあります。騎射(馬にまたがって弓を射る)に適した服装として生み出されたものなのです。騎射の技術は、銃火器が登場するまで最強の軍事力でした。その服装をヨーロッパの人びとがまね、そして日本人が取り入れたというわけです。服や髪型といった身近なものから国と国との複雑な関係など、歴史を探ることではじめて理解できることがたくさんあります。
歴史学科では、自分と自分を取り巻くいまの世界を理解する歴史的思考力が身につくといえます。
文学部: 中村 淳(歴史学科 外国史学専攻、東洋史)