さまざまな信仰を認め合う社会に変わる
海外からの観光客による「爆買い」がメディアで注目されるなど、日本は海外旅行先として人気を博しています。日本政府観光局によれば、2016年の年間訪日外国人数は約2400万人を数え、年々増加する傾向にあります。オリンピックが東京で開催されることで、これまでにないほどの観光客が押し寄せることでしょう。
こうした海外からの観光客の中には、キリスト教やイスラーム、ヒンドゥー教などのさまざまな信仰を持つ人がたくさんいます。多様性を認め合う現代社会において、宗教や信仰はとりわけ互いに尊重し合うべき重要なものとなっており、こうしたゲストたちの信仰にどのように対応するかが今日本には問われています。
例えば食事です。日本では精進料理などの文化もありますが、食のタブーを守っている人はそう多くはありません。食について厳しく制限されているイスラームでは、信仰に準じた食べ物を表示する「ハラール認証」があります。日本においても食品会社や飲食店でのハラール認証への登録がすでに取り組まれていますが、飲食店に置かれたメニューにアレルギー表示とともに、どのような宗教に準じた食なのかを表示する慣習が広まっていくのではないでしょうか。食はほんの一例ですが、オリンピックをきっかけに日本がゲストたちの信仰に配慮した社会へと変わっていくと思います。
仏教学部: 徳野 崇行(宗教学)