法学部
五輪に社会の変化があらわれます
政治学の一分野「日本政治外交史」の観点では、五輪は変化が現れる、もしくは変化を表す舞台です。現在、政府は新たにスポーツ庁を設置してスポーツ振興に力を入れています。その政策効果で、五輪の前後何年間か日本の選手が優れた成績を残し、次世代の育成者となっていくでしょう。しかしより重要なのは、普段の社会や生活、何を大切と思うか(これを価値といいます)という点での変化が、五輪に現れる点です。日本は1940年の五輪開催が決まっていましたが戦争で返上しました。そして1964年の五輪では、敗戦から見事に復興し国際社会の中で「平和国家」「文化国家」として役割を果たす意気込みをアピールしました。では、2020年に日本は何を国内外に発信しますか。みなさんはかつてオリンピックとパラリンピックの選手の公式ユニホームが違っていたことをご存じでしょうか。今では当たり前の「オリパラ一体」は20年前の長野冬季五輪が日本に残した遺産であり、受け継がれるトーチです。社会の変化を受け止めた当時の首相橋本龍太郎の指示だと言われています。そこで示されているのは、多様性の中の共存、違っても共に生きる、それぞれに意味がある、という価値ではないでしょうか。
法学部: 村井 良太(日本政治外交史)