成長国家から成熟国家への転換点!
1964年の東京五輪は、西洋列国に追いつけ追い越せの戦後復興の象徴であり、首都高速、新幹線、ホテルなど近代化を象徴する施設が整備された。また駒沢公園で開催された日本女子バレーボールの優勝は、ママさんバレー・ブームを呼び、「見る」だけでなく「する」スポーツに変化させた。
さて、2020年の東京五輪のテーマは、日本の成熟先進国として何を創造するかだ。市場が拡大している観光産業であるが、サービス業は一般的に生産性が低い。そこで AIやロボットを活用した効率化や新たなおもてなしが出てくる。
さらに地球環境や社会課題にも責任をもつために、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、調達からリサイクルに至る資源の有効活用や脱炭素社会、ダイバーシティ等と取り組むべき事業はたくさんある。
パラリンピックの障がいをもった選手の不屈の闘志には驚嘆するし、それを支える道具の日本の職人技術やボランティアの人々の優しさは、成熟国家の象徴でもある。「見る」「する」、そして「支える」スポーツの楽しみ方があるのだ。
成長国家は“弱肉強食”のモデルであったが、成熟国家は“誰も置き去りにしない”という新たな社会モデルへ向けてのスタートだと期待したい。
経営学部: 青木 茂樹(流通システム論)