学問Q&A

好奇心の正体はなんでしょうか?

経営学部

実はマーケティングで誘導されている?!

身近な場面で考えてみましょう。誰もが一度は利用したことがあるコンビニでは、通常、幅90㎝程度の棚に同一カテゴリーに属するさまざまな商品が陳列されていますが、みなさんは、棚のどの位置に陳列されている商品がもっとも売れるか、考えたことがありますか。また、みなさんは実際に、棚のどの位置に陳列されている商品をもっとも購入していますか。
コンビニを訪れる消費者のうち、時間に余裕のある人は、目の前に並んでいる商品をZの形で、つまり、いわゆる“ゴールデン・ゾーン”(もっとも見やすく、もっとも手に取りやすい、床上70~140㎝ほどの高さ)の左端から見始め、床面に平行する形で右端まで見た後、左斜め下に視線を移動し、再度、左端から床面に並行する形で右端まで見ていきます(このことを「Zの法則」と言います)。しかしながら、コンビニを訪れる消費者の大半は、買い物を5分以内で済ます傾向にあり、各売り場においてZの途中で商品を見るのを止めてしまいます。いずれにしろ、“ゴールデン・ゾーン”の左端に陳列されている商品が、もっとも売れることになります。コンビニは、こうしたZの形で視線を動かす消費者の特徴を考慮して、主力商品や売れ筋商品などを“ゴールデン・ゾーン”の左端に陳列しています。
このように、人々の特徴を利用し、好奇心を誘導するマーケティングが私たちの身の回りにはあふれているのです。

経営学部: 兼村 栄哲(マーケティング論)

おすすめ参考文献

ビジュアル図解 コンビニのしくみ
笠井 清志(著)同文舘出版(刊)

コンビニが作り上げた、経営やマーケティングなどにかかわる高度なシステムを100項目にわたってわかりやすく解説してあり、さまざまな業種や企業で働く人々にとって参考になる良書。

営業をマネジメントする
石井 淳蔵(著)岩波書店(刊)

人の努力と個性に依存する従来の属人営業から組織で対応するマネジメント志向の営業に移行し、一人ひとりが自分の得意な営業プロセスで力を発揮すれば、営業はもっと魅力的な仕事になることを示した良書。

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