実はマーケティングで誘導されている?!
身近な場面で考えてみましょう。誰もが一度は利用したことがあるコンビニでは、通常、幅90㎝程度の棚に同一カテゴリーに属するさまざまな商品が陳列されていますが、みなさんは、棚のどの位置に陳列されている商品がもっとも売れるか、考えたことがありますか。また、みなさんは実際に、棚のどの位置に陳列されている商品をもっとも購入していますか。
コンビニを訪れる消費者のうち、時間に余裕のある人は、目の前に並んでいる商品をZの形で、つまり、いわゆる“ゴールデン・ゾーン”(もっとも見やすく、もっとも手に取りやすい、床上70~140㎝ほどの高さ)の左端から見始め、床面に平行する形で右端まで見た後、左斜め下に視線を移動し、再度、左端から床面に並行する形で右端まで見ていきます(このことを「Zの法則」と言います)。しかしながら、コンビニを訪れる消費者の大半は、買い物を5分以内で済ます傾向にあり、各売り場においてZの途中で商品を見るのを止めてしまいます。いずれにしろ、“ゴールデン・ゾーン”の左端に陳列されている商品が、もっとも売れることになります。コンビニは、こうしたZの形で視線を動かす消費者の特徴を考慮して、主力商品や売れ筋商品などを“ゴールデン・ゾーン”の左端に陳列しています。
このように、人々の特徴を利用し、好奇心を誘導するマーケティングが私たちの身の回りにはあふれているのです。
経営学部: 兼村 栄哲(マーケティング論)